2012 Fiscal Year Annual Research Report
動脈壁の内弾性板欠損の超音波による可視化と動脈硬化の極早期診断法に関する研究
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23650298
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金井 浩 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10185895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西條 芳文 東北大学, 医工学研究科, 教授 (00292277)
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Keywords | 動脈硬化症 / 医用超音波工学 / 内弾性板欠損 / 位相差トラッキング法 / 表面粗さ推定 |
Research Abstract |
近年,血液中の過剰LDLコレステロールが,動脈内側を裏打ちする内膜の隙間を通して内膜・中膜に入り,惹起された炎症が動脈硬化症に至るまでのメカニズムが解明されてきた.さらに,病理学では,内膜の内弾性板欠損部分から動脈硬化が始まるという動物実験結果がある.しかし,従来の画像診断法(CT,MRI,超音波エコー,PET等)では,動脈硬化病変部の診断は可能になったが,空間分解能が十分ではなく,内弾性板欠損を生体では観察できない.そこで本研究では,動脈壁の内膜表面に沿った粗さの非侵襲的高精度推定を実現し,「内弾性板欠損の可視化と診断」という新しい医学診断分野を開拓し,極早期段階での動脈硬化症の診断と治療を結び付けることを目的とする.本年度は,開発した計測法のヒト頸動脈壁の内膜表面粗さ計測への適用を行った. ヒトに適用する前の評価実験として,シリコーンファントムの計測においてブタ軟組織を伝播媒質として使用し,実際の生体軟組織(音速不均一媒質)存在する状況下でも10ミクロン程度の表面粗さを高精度に計測できることを示した. ヒト頸動脈壁の2次元変位を計測するためのスペックルトラッキング法における超音波受信信号の相関を評価するフレーム間隔や相関窓幅に関する最適化を行った.本研究グループが開発した高精度超音波ビーム方向変位計測法とスペックルトラッキング法を組み合わせて得られる動脈壁径方向変位と軸方向変位から,開発した手法を用いて内膜表面粗さの推定を行った.3名の被験者について計測を行い,10~50ミクロン程度の微小な表面粗さを再現性良く計測できることを示した.
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