2011 Fiscal Year Research-status Report
診療における集積知を活用する新しい臨床支援情報システムの研究
Project/Area Number |
23650302
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大江 和彦 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (40221121)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 医療情報システム / 電子カルテ / 類似検索 / 診療意思決定支援 |
Research Abstract |
東大病院の既存の診療データベースの集積知としての評価を行うため、東大病院の過去3年分(平成21年度~23年度)のすべての入院患者および外来患者に関する処方オーダー、検体検査オーダー及び検査結果、患者基本情報、病名データベース、注射点滴実施データ、生理検査オーダ情報についてSS-MIX標準形式の準拠した形式のデータベースおよび研究者独自で構築した二次利用専用の統合データベース形式から、時系列パターン分析のためのグラフ可視化し評価を行った。可視化は、患者ID、対象期間を指定することにより、その期間の処方された医薬品、主要な検体検査を時系列グラフで表示し、その変動パターンを把握しやすいようにタイムスケールを変更できるものである。これを活用してリアルタイムで類似例を検出するためのデータベース設計について考察した。また、入院時現病歴、退院時サマリなど、診療経過を要約した自然言語文章データは、東大病院の電子カルテ全文検索システムをチューニングし、特定文字列を含むカルテの高速検索を使用することにより、その患者属性の一覧表示を実現した。これにより、前述のオーダー情報をもとにした二次利用データベースだけでは把握することのできない診療経過中の特性や副作用に関する情報を条件として高速に検索することができるようになった。両者の結果を統合的に検索、表示する機能を今後の診療意思決定支援機能を目的として概念設計した。オントロジーとの統合化を図る部分については、次年度に向けた設計を開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電子カルテに代表される診療情報システムに蓄積された日常診療行為と結果のデータベースを医療行為知識の集積データベースすなわち「集積知」として捉える新しい考え方にもとづいた診療意思決定支援システムのあり方を研究するもので、初年度の目標は既存のデータベースの評価手法を確立するものである。これに対して研究者の所属機関の診療大規模データベースへのアクセス手法を確立し、時系列パターンの可視化を実現した。一方、類似症例を検索するための自然言語処理による患者属性の抽出評価については試行錯誤が必要な部分が残っているが、全体としては初年度おおむね順調に進んでいると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
然言語処理による患者属性の抽出評価については継続するとともに、特定の患者の基本診療情報パターンと類似の既存症例を高速に抽出する手法の開発研究を実施し、その高速化の手法について検討を加えてリアルタイム性の評価を行うことが2年目である24年度の目標であり、これを着実に推進する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度は、当初計画ではデータ転送用パソコンとデータベースソフトウエアなどを必要とする予定であったが、実際には初年度の段階では性能面で既存の設備で評価実験をすることが可能であった。また、データ整理作業などで人件費を必要とする予定であったが、これについては2年目のシステム開発時点で同時に実施するほうが効率的であると考えられたので、当初は1年目で必要とする予定であった経費の多くが2年度目の前半に使用することとした。次年度は、前半に初年度予定の残研究費と次年度予定研究費とを使用してデータベースの大規模化、高速化に対応させ、特定の患者の基本診療情報パターンの分析のためのデータ整理を派遣職員により実施し、同時に類似検索のシステムの設計と開発をプログラム開発作業を発注して行う。
|
Research Products
(4 results)