2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23650304
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
近藤 隆 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (40143937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
趙 慶利 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (90313593)
田渕 圭章 富山大学, 生命科学先端研究センター, 准教授 (20322109)
高崎 一朗 富山大学, 生命科学先端研究センター, 助教 (00397176)
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Keywords | DNA損傷 / DNA-PK / ATM / ATR |
Research Abstract |
超音波によるヒストンH2AXのリン酸化機構について検討した。H2AXは二本鎖切断の高感度なマーカーであり、H2AXリン酸化を担うキナーゼとしてはATM、ATR、およびDNA-PKが知られている。超音波誘発二本鎖切断に由来して起こるH2AXのリン酸化の機構を調べるため、特異的阻害剤を用いた。U937細胞に対して、ATM阻害剤としてKu55933, DNA-PK阻害剤としてNu7026を前処理し、超音波照射30分後のリン酸化H2AX陽性細胞の割合をフローサイトメトリーにて測定した。陽性対照群として、X線照射(10 Gy)を用いた。超音波照射では、ATM阻害剤によるH2AXリン酸化の抑制が認められたが、DNA-PK阻害剤でも大幅な抑制があり、両者の併用でリン酸化ヒストンH2AX陽性細胞はほぼ消失した。同程度のリン酸化H2AXを誘導条件では、超音波は放射線よりもDNA-PKcsを強くリン酸化した。DNA-PKのH2AXリン酸化への寄与を調べるため、DNA-PK欠損神経膠腫細胞株M059JとDNA-PKcsを有するM059Kにそれぞれ超音波を照射したが、前者ではほとんど検出されなかった。これより、超音波によるH2AXのリン酸化はDNA-PKが主体的で、ATMが部分的に担っていると考えられる。超音波によるH2AXのリン酸化は照射直後から起こり、3時間で一度減衰し、アポトーシスの観察できる6時間で上昇することから、照射後初期のH2AXリン酸化についてはDNA損傷由来と考えられる。以上より、超音波によるH2AXリン酸化シグナルは、損傷誘発機構の違いに起因し、放射線、化学療法剤、デスリガンドとは異なることが判明した。
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Research Products
(11 results)