2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23650307
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
浅沼 俊彦 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座准教授 (80379271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中谷 敏 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80393221)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 超音波 / 心臓 |
Research Abstract |
生体における組織の硬さは重要な情報である。組織の硬さを知ることができれば診断や重症度評価に有用だが、心臓の硬さを非侵襲的に評価することは容易ではなかった。近年、音響放射圧acoustic radiation force impulse(ARFI)により生じるせん断弾性波の伝播速度(Vs)を測定することで、組織の硬さの評価が可能になった。しかし、本法は肝臓等の動かない臓器を対象にしているため、常に収縮・拡張を繰り返している動的臓器である心臓の硬さを評価できるかは明らかではない。 平成23年度は、動物実験から左室短軸像の各領域における健常心筋のVs測定が可能か、またその再現性を検討した。麻酔開胸犬5頭にて、Acuson S2000(持田シーメンス)を用いて左室短軸像を描出し、短軸上0時(前壁)、3時(側壁)、6時(後壁)、9時(中隔)の位置に関心領域を置き、Vsをそれぞれの領域で30回ずつ測定した。測定可能であった回数は30回中、前壁10.3(34%)、側壁7.0(23%)、後壁12.3(41%)、中隔3.5回(12%)と、前壁と後壁で高い傾向があった。各領域のVs値は、前壁0.89 ± 0.30、側壁1.02 ± 0.86、後壁1.04 ± 0.57、中隔1.07 ± 0.70 m/sと、前壁と比べ他の領域でばらつきが大きかった。動的臓器である心臓ではARFIによるVs測定は困難が予想されたが、前壁では比較的安定した測定値を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の実験計画では、健常心筋から得られるVs値の測定が可能か、またその再現性を評価した。上記の結果からこの目的は達成されている。 また、動的臓器である心臓でのVs測定の再現性を改善するためには、Vs測定の時相を常に一定にすることが望ましいが、現行の装置では心電図同期ができないため、徐脈状態にして心臓の拡張中期のVs測定を計画していた。しかし、ベータ遮断薬やベラパミル等の薬物を使用しても十分な徐脈状態を維持させることができず、拡張中期での測定実験は困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に引き続き、徐脈によりVs測定の再現性に変化がないか検討する。徐脈状態を維持するためには麻酔量を調整する以外に、上記以外の薬剤の使用を計画している。また、実験計画通りに、1. エタノール硬化心筋におけるVs値の検討、2. 虚血心筋におけるVsの検討、3. 安全性の検討を検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究費の使用計画は、50万円以上の物品購入の予定はなく、実験に使用する物品(器具や薬品等)、および情報収集や成果報告をするため旅費に主に充てられ、平成23年度と概ね同じとなる予定である。
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Research Products
(4 results)