2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23650310
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
寺川 光洋 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (60580090)
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Keywords | 低侵襲治療システム / レーザー医療 |
Research Abstract |
本年度は、フェムト秒レーザによる粒子加速の実験研究を行った。直径200 nmの金微粒子をドナーとなるSi基板に滴下し、スピンコートにより散布した。光源にはTi:Sapphireフェムト秒レーザ(中心波長800 nm、パルス幅80 fs)を使用し、焦点距離300 mmのレンズを用いてドナー基板に集光した。集光スポットは長軸840 μm、短軸680 μmとし、ドナー基板に対して垂直に入射した。ドナー基板とレシーバ基板の間隔は5 mmとした。レーザ照射後、ドナー基板およびレシーバ基板の表面を走査型電子顕微鏡を用いて観察するとともに、エネルギー分散型X線分光装置を用いて元素分析を行ったところ、レシーバ基板上に推進された金微粒子が存在することを確認した。レシーバ基板上には中心に推進された金微粒子が集合体として存在し、周囲に孤立粒子が散逸した。大部分の金微粒子は溶融したと考えられる形状であったものの、レーザ照射前の形状から変化していないものもみられた。次に、レーザ入射角度を20°として実験を行った。レシーバ基板における金微粒子の分布を、電子顕微鏡画像から求めた。レーザの集光径840 μmに対しレシーバ基板上の金微粒子は約1300 μmの範囲に存在していたものの、空間分布の半値全幅はレーザ集光径と同程度であった。有限差分時間領域法(Finite Difference Time Domain method)により計算した推進角度は2.9°であり、実験および計算いずれにおいても空間拡がりの小さい推進が可能であることが明らかになった。以上の成果から、増強局在近接場光生成プラズマ駆動による新規粒子推進を実験実証した。将来展望として、本研究において観察されたレーザ照射による形状変化がない条件につき、より詳細に調べることで、内包もしくは結合した薬剤分子に影響を与えることなく推進が行えるものと期待される。
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Research Products
(4 results)