2012 Fiscal Year Research-status Report
ロービジョン者のための眼球運動訓練ツールの開発と効果の検証
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23650315
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴鴨 よしみ 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60362472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大内田 裕 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80510578)
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Keywords | 障害学 / リハビリテーション / ロービジョン / 眼球運動 / フィードバック / トレーニングツール |
Research Abstract |
本研究は、ロービジョン者の残存視機能を最大限に活用して生活上の障害を最小限にすることを目指して、眼球運動測定装置を活用したロービジョン者の効率的な眼球運動のトレーニングツールを開発し、その効果を検証することを目的としている。そのために、1)ロービジョン者が物を見る行動を行う際に、残存視力に応じてどのように眼球を動かしているのかを明らかにし、その結果に基づいて、2)効率的な眼球運動のトレーニングツールを開発しその効果の検証を行う。 平成24年度は、晴眼者12名(男性7名、女性5名、平均年齢30歳)、ロービジョン者(求心性視野狭窄者:男性1名、女性2名、平均年齢34.3歳)3名の眼球運動を測定した。課題は2図の違いを探す視覚探索課題とし、7条件(無意味図形課題5条件、有意味図形課題2条件)を要因(配列方向、難易、同異、距離、サイズ、向き)を変えて行い、眼球運動測定装置アイマークレコーダEMR-8Bを用いて、眼球運動を記録した。違いを見つける、または違いはないと判定するまでの反応時間、眼球運動回数(2つの図の中心線を視線が超える回数)、眼球運動回数/反応時間の3項目について、ロービジョン者と晴眼者の平均値を比較し、要因が反応時間に及ぼす影響を解析した。反応時間は晴眼者より、ロービジョン者の方が遅い傾向が見られ(1.89±0.43秒vs. 4.08±0.95秒)、反応時間に影響する要因は、無意味図形では垂直方向、複雑課題、同図形、有意味図形では同図形であった。眼球運動回数について、両群間に統計的有意差は見られなかった。この結果より、求心性視野狭窄によるロービジョン者は、視覚探索課題において晴眼者よりも反応時間が遅いが、2図を見比べる回数は異ならないことが明らかになった。求心性視野狭窄によるロービジョンを補償するために、晴眼者とは異なる戦略を用いていることが推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
求心性視野狭窄によるロービジョン者だけでなく中心視野欠損(中心暗点)を持つロービジョン者の眼球運動を測定する予定であったが、参入基準を満たす視野のロービジョン者が予定通りに集まらず、求心性視野狭窄者を対象とした測定は実施できたが、中心視野欠損患者は次年度に実施することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、中心視野欠損(中心暗点)を持つロービジョン者の眼球運動を測定し、まず平成24年度に得られた求心性視野狭窄ロービジョン者データと合わせて詳細な解析を行う。その結果を基に、眼球運動トレーニング用の提示材料を作成する。この提示材料を中心視野欠損および求心性視野狭窄のロービジョン者、各2名計4名にテストし、反応時間を記録するとともに、主観的な変化や使用感などを聴取し、訓練プログラムを決定する。さらに、当初の測定に参加しなかったロービジョン者4名を対象に眼球運動訓練を実施し、量的・質的データを収集する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、当初計画していた測定装置の変更に伴い、解析に必要なソフトウエアが変更されたために生じたものであり、次年度以降に実施する眼球運動測定データ収集に必要な経費として、平成25 年度請求額とあわせて使用する予定である。
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