2011 Fiscal Year Research-status Report
プロテオグライカンの生体内機能を利用した神経変性疾患リハビリテーションの新規開発
Project/Area Number |
23650319
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
KA 井上 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (90302877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 三紀 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (70191533)
ゼレド ジョージ 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 非常勤講師 (10363459)
粂井 康宏 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (30161714)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | プロテオグライカン / リハビリテーション医学 |
Research Abstract |
高齢化にともない神経変性疾患の患者が急増し、特にアルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病では、記憶喪失や運動麻痺が確実に進行する。このような神経変性疾患に対する治療法は確立されておらず、効率的なリハビリテーションも確立されていない。神経変性疾患で惹起される神経細胞死や神経細胞の機能障害は、神経細胞内外における種々のタンパク質凝集体の異常形成に起因し、このプロセスの進行を防ぐことは、新たな治療法の開発に繋がる。生体内に広く発現する組織型トランスグルタミナーゼ (TG2) は、生体構造の構築や安定化に寄与し、セリアック病、糖尿病、肝疾患、癌など、様々な病態形成に深く関与している。神経細胞では、TG2によるタンパク共有結合の結果、タンパク質凝集体分解が阻害され、脳神経変性疾患の発症を左右する。近年アルツハイマー病やパーキンソン病といった脳神経変性疾患のアミロイド形成に関与するTG2の酵素活性が細胞表面および細胞外マトリックスの主要な活性分子であるヘパラン硫酸プロテオグライカン (HSPG)により制御される可能性が指摘されている。制御のメカニズムとしてHSPGがTG2の細胞内輸送に関与することが想定されている。本研究では、TG2の酵素活性の調節機構を解明することによって、神経変性疾患の発症に特異的に関与する因子を見出し、薬物標的を同定し、開発することを目的とする。特に神経細胞に発現するHSPGの神経変性疾患の発症への関与について、TG2の細胞内外輸送の制御、生物学的活性の調節という点に焦点を絞り、それらの関わりをin vitro及びin vivoの実験系で解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
C6グリア腫細胞のプロテオグライカンを部分精製し、HSPGの分子種の同定をおこなった。まずヘパラン硫酸鎖を特異的に認識する3G10抗体を用いたイムノブロット解析の結果からC6細胞にはヘパチナーゼ処理後の分子量が30-33, 37, 60-65 kDaとなるHSPGが存在することが示唆された。また代表的なHSPGの発現をRT-PCRにより解析したところ数種のメッセージが検出された。現在TG2に対する抗体を用いた共沈殿実験をおこないTG2/HSPG複合体の存在を解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
C6細胞を用いて追跡可能な形に改変したTG2融合タンパク質の安定発現株を作成し、TG2の細胞内輸送に対するHSPGの関与を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
TG2, HSPGに対する分子的生物学的アプローチのために遺伝子導入試薬、siRNAなどが必要である。また共焦点顕微鏡での観察において、細胞内輸送の阻害剤や細胞内小器官や細胞骨格の可視化のための試薬や抗体が必要である。
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