2012 Fiscal Year Research-status Report
プロテオグライカンの生体内機能を利用した神経変性疾患リハビリテーションの新規開発
Project/Area Number |
23650319
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
KA 井上 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (90302877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 三紀 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (70191533)
ゼレド ジョージ 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 非常勤講師 (10363459)
粂井 康宏 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (30161714)
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Keywords | プロテオグライカン / リハビリテーション医学 |
Research Abstract |
神経変性疾患で惹起される神経細胞死や神経細胞の機能障害は、神経細胞内外における種々のタンパク質凝集体の異常形成に起因し、このプロセスの進行を防ぐことは、新たな治療法の開発に繋がる。組織型トランスグルタミナーゼ (TG2) は、タンパク質のグルタミン酸とリジンの間に共有結合を形成させる酵素である。このTG2は、生体内に広く発現しており、生体構造の構築や安定化に寄与し、様々な病態形成に深く関与している。一方で、TG2は、神経細胞にも存在しており、この酵素によってタンパクの共有結合が形成されるとタンパク質凝集体が分解されにくくなる事が報告されている。よって、TG2の酵素活性は、脳神経変性疾患の病状や病因にも、大きく寄与していると思われる。ヘパラン硫酸プロテオグライカン (HSPG) は、細胞表面および細胞外マトリックスの主要な活性分子の一つであり、細胞内輸送を調節している。最近このHSPGがアルツハイマー病やパーキンソン病といった脳神経変性疾患の病因に重要なアミロイドで検出された。これは、HSPGがTG2に作用して、神経細胞の細胞内外輸送(分泌とエンドサイトーシス)を調節し、TG2酵素活性を制御している可能性を示唆する。本研究では、TG2の酵素活性の調節機構を解明することによって、神経変性疾患の発症に特異的に関与する因子を見出し、薬物標的を同定し、開発することを目的とする。神経腫細胞が発現するプロテオグライカンの精製方法および質量分析のサンプル調製方法を確立した。TG2に対する抗体を用いて、免疫沈殿実験をおこなった。TG2融合タンパク質を発現する多数ベクターを作成し、安定発現株を作成中である。現在、TG2の細胞局在および細胞内輸送の実験を進行中である。一方、今度の研推進方策に有益な情報として、細胞表面における分子形成の調節を特徴付けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
C6グリア腫細胞及びU251 MGアストロサイトーマのヘパラン硫酸プロテオグライカン(HSPG)を解析したところ、複数バンドが示されたので、組織型トランスグルタミナーゼ (TG2)との相互作用するHSPGのキャンディデートの同定が必要だった。一方、質量分析によるHSPGの同定を行うため、サンプル調節方法に取り組んだ。TG2に対する抗体を用いた共沈殿実験をおこない、TG2/HSPG複合体の同定をおこなったが、共沈殿実験に適切な抗体及び共沈殿方法の完全なプロトコール確立が必要だったため実験の遅れが発生した。現在、FLAG-TG2融合タンパク質及びHSPG-GFP複合タンパク質の安定発現株を作成中である。
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Strategy for Future Research Activity |
C6グリア腫細胞を用いてTG2融合タンパク質の安定発現株を作成し、TG2と相互作用する分子を質量分析法で同定する。さらにC6グリア腫細胞を用いて、細胞内輸送の阻害物質(wortmannin、bafilomycin、brefeldin Aなど)を処理することにより、TG2の細胞内での動態を観察し、TG2の細胞内輸送に対するHSPGの関与を解析する。さらに、HSPGの生合成に係わる酵素に対しsiRNA法を用いて、TG2の細胞内輸送及びアミロイド凝集形成を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
TG2とHSPGの分子間相互作用の同定を行うために抗体や共沈殿キット及び質量分析用試薬が必要である。分子生物学的実験のため、siRNAや遺伝子導入試薬がひつようである。共焦点顕微鏡での観察において、細胞内輸送の阻害剤や細胞内小器官や細胞骨格の可視化のための試薬や抗体が必要である。また2年間に一度に行われる、多くプロテオグライカンの専門学者が参加される国際学会での研究成果発表のため旅費が必要。
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