2012 Fiscal Year Research-status Report
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23650328
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小山 善哉 長崎大学, 大学病院, 助教 (90253682)
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Keywords | 嚥下リハビリ / 蕎麦啜り / 表面筋電図 / チューブ吸い |
Research Abstract |
健常成人16名(平均年齢22.2歳)を被験者とし、舌骨上下筋群および胸鎖乳突筋の表面筋活動量をチューブ吸い“蕎麦啜り様訓練”と従来手技と比較した結果、当該訓練時には、舌骨上下筋群では、シャキア訓練に匹敵する高い筋活動量を示す一方で、胸鎖乳突筋の活動量は小さく嚥下に直接関係しない頚部筋には負荷が少ない結果を得たので、成果を日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌に投稿し、平成24年12月に日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌16(3),243-252,2012に掲載された。 今後、高齢者での当該訓練法の評価を進めるにあたり、高齢者や脳血管疾患等罹患者では軟口蓋による鼻咽腔あるいは口腔咽頭閉鎖機能低下が嚥下障害につながる場合が多いことから、軟口蓋運動に対する訓練も評価項目に加え、当該手技単独、あるいは当該手技と軟口蓋運動訓練併用の比較も高齢者の評価では必要と考えた。軟口蓋運動訓練法としては、ブローイング法が広く知られている。ブローイング法では水を容れたコップにストローを差しブクブクと息を吹き込む運動であるが、水分誤嚥レベルの機能低下者では誤って水を吸い込む誤嚥リスクがある。そこで、高齢者や認知機能低下者にも訓練が実施可能とするために、誤嚥防止の逆流防止弁付ストローを考案し、現在、口腔ケア関連企業と共同開発中である。 平成25年4月15日より静岡県浜松市リハビリテーション病院に出張し、同病院がすすめている外来あるいは施設の高齢者での嚥下訓練効果の研究に参加している。同病院に7月12日まで滞在し、高齢者を対象とした、当該訓練や逆流防止弁付ストローを用いたブローイング法の評価を行い、今後関連学会等で成果を報告予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
健常成人16名を被験者として、栄養カテーテルチューブをもちいた“蕎麦啜り様訓練”を従来の嚥下リハビリ手技と表面筋電図をもちい舌骨上下筋群および胸鎖乳突筋の筋電位を比較し “蕎麦啜り様”訓練は舌骨上下筋群では従来法に匹敵する高い筋電位を示す一方、胸鎖乳突筋では筋電位が低く、嚥下に関連しない頚部筋に負荷が少なく、高齢者や頸椎症等頚部運動障碍者に有効なリハビリ手技であることが確認した。成果は平成24年12月に日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌に発表した。エックス線透視画像による舌骨拳上の評価は未だ実施していないが、当該リハビリ手技および逆流防止弁付ストローを用いたブローイング訓練の併用効果等、実際に嚥下障害を有する高齢者での評価研究をすすめている。
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Strategy for Future Research Activity |
認知機能低下している高齢者も対象に安全に研究を進めるために、逆流防止弁付ストローの開発は急務であり、現在試作品の作成を口腔ケア関連業者と進めている。在宅・施設の多数の被験高齢者のデータを集め評価するために、本邦の摂食嚥下リハビリテーションの先進機関である静岡県浜松市リハビリテーション病院の協力を得ている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
表面筋電図測定の消耗品、咽頭圧計の関連機器と消耗品が必要である。エックス線透視および咽頭圧測定は他の研究機関との連携が必要で研究打ち合わせ等の出張費、20名~30名の被験者への謝礼も必要である。また、浜松市リハビリテーション病院での長期出張研究のための旅費が必要である。成果の関連学会での発表、海外雑誌への投稿料等必要と考えている。
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