2011 Fiscal Year Research-status Report
音声視覚化システムを用いた新しい開鼻声評価法の確立と臨床応用
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23650329
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
五味 暁憲 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10325798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 典史 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (60217875)
平原 成浩 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (70218808)
緒方 祐子 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50549912)
新中須 真奈 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (60457653)
上田 裕市 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (00141961)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 鼻咽腔閉鎖機能 / 開鼻声値 / 口蓋裂言語 / 上顎歯肉癌 |
Research Abstract |
口蓋裂手術、上顎歯肉癌切除後の予後には鼻咽腔閉鎖機能獲得ないし回復が重要である。正常な言語を獲得・回復するためには鼻咽腔閉鎖機能を正確に評価する必要があり,非侵襲性で信頼性の高い検査法を考案することが急務である.本研究の目的は,開鼻声の評価に視覚化した音声を用いて非侵襲的に行い,かつ患者自身にフィードバックできるシステムを確立することである. 口蓋裂手術後の鼻咽腔閉鎖不全は開鼻声の主因となり,それに伴う不明瞭な言語は小児にとって大きなストレスとなる.正常言語を早期に獲得するには幼少期に鼻咽腔閉鎖機能を正確に評価し,症状に応じた適切な処置が必要である.また上顎歯肉癌患者の場合、切除により口腔と鼻腔が交通することで開鼻声を呈する。一般に鼻咽腔閉鎖の評価には音声の聴覚判定が重要であるが,臨床経験の差により評価にばらつきが認められる.そこで,ナゾメータやファイバースコープなど機器を用いた検査を組み合わせることによって評価の信頼性を高める必要がある.しかし,ナゾメータには一貫性はあるものの高価で購入が難しく全ての施設で使用できない,またファイバースコープは侵襲性で年少児の評価には用い難い,などそれぞれに欠点があり,非侵襲性で信頼性の高い検査法が求められるが,これまでにこのような検査法の報告はない。応募者はナゾメータを用いた開鼻声値(nasalance score,以下NSと記す)の基準を設置するために多くの音声データを収集してきた(若手研究,H21~22).また,音声視覚化による異常音の評価に共同研究者として関わっている(平原,基盤研究C,H22~24).このデータと手法を基盤として,新しい開鼻声評価法を確立させることを考案できると考えた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
口蓋裂患者の音声サンプルは収集しつつあるが、上顎歯肉癌については十分解析できる症例が集まっていなかった。最近になり収集できるようになってきたため、期間内に結果を報告できると考える。 nasalance測定にはナゾメーターが必要であるが、研究分担者側には機器が備えられている一方、研究代表者側は新たに準備する必要があった。設置されたのは年度後半になったため、特に上顎歯肉癌症例のnasalance測定が遅くなった。現在測定を始めており、研究期間内に結果を得られると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初口蓋裂患者に特定した研究を計画していたが、上顎歯肉癌患者の障害に対しても評価する必要性が生じてきた。口蓋裂患者の場合は口蓋形成術後の鼻咽腔閉鎖機能、上顎歯肉癌患者の場合は顎義歯の閉鎖機能の評価が必要であり、いずれもnasalanceと音声分析による評価が妥当と考えた。そこで口蓋裂患者だけでなく上顎歯肉癌の顎義歯による機能回復評価を合わせて行うこととした。 研究方法には大きな変更はなく、対象の幅を拡大したことになる。研究遂行には問題を生じないと考える。 これまで通りnasalanceを測定するとともに、録音した音声を解析し、フォルマントの変化とnasalanceの変化の相関を調査していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主には、研究のまとめ、研究成果の発表に必要な書籍や物品の購入、学会発表の旅費、論文作成のための経費とする予定である。 なお、23年度に行った開鼻声値の調査の結果、さらなる検討を要することになった。具体的には幅広い年齢層の開鼻声値基準値が必要であるため、24年度には健常者の開鼻声値測定を計画に追加した。そのため次年度に使用する予定の研究費が生じた。
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Research Products
(2 results)