2012 Fiscal Year Research-status Report
中枢損傷部位の違いによる姿勢調節障害パターンの特定と有効なリハビリ介入方法の探索
Project/Area Number |
23650330
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
佐々木 健史 札幌医科大学, 保健医療学部, 助教 (20535562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松山 清治 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (40209664)
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Keywords | 姿勢調節 / 重心動揺 / 脳損傷 / 動物実験 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ラット脳損傷モデルを用いて姿勢調節障害の特徴を定量的に明らかに、それらに対するリハビリ介入の効果を検討することである。これは、中枢神経損傷損傷による姿勢調節障害に対する的確なリハビリプログラムの開発のための基礎的データの提供につながる臨床的意義がある。このため、本研究では次の項目を計画している。 ① 床面を一定速度で傾斜させた際の重心動揺を測定するラット用重心測定システム(ラット用重心動揺計、筋電図測定、動画記録)を構築する。② 健常ラットおよび大脳皮質、視床、小脳のラット脳損傷モデルに対して、前後・左右方向の異なる傾斜角度における静的な姿勢保持(静的条件)での重心動揺、および前後・左右方向の異なる傾斜速度における傾斜反応時(傾斜条件)の重心動揺を測定する。更にワイヤー電極を用いた四肢の筋活動およびビデオによる動画を同時に記録する。③ 脳損傷に伴う姿勢調節障害の歩行運動への影響につい、トレッドミル歩行時の動作解析などを通して歩行運動の評価を実施する。④ ラット脳損傷モデルに対してトレッドミル歩行練習を実施し、その効果について検討する。 平成24年度は、ラット用重心測定システムの構築および健常ラットを用いた重心動揺と筋活動の同時計測など姿勢調節能力の評価データを取得した。ラット用重心動揺測定における測定精度を担保し、ラットを用いた生体による測定に耐えうるシステムの開発した。また、ラットなどの小動物を用いた床面傾斜による外乱刺激に対する特徴的な四肢・体幹の姿勢調節反応を抽出できた。異なる傾斜角度および傾斜速度などの刺激条件の違いから、代償的および予測的な姿勢を補正する反応の様々な出現パターンが確認された。これらを基に脳損傷モデルとの比較やリハビリ介入による効果を検証していく必要が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度の研究では、ラット用重心動揺計の開発と四肢の筋電図測定の両者による同時測定が可能となるシステム構築において、データの安定した抽出および測定精度を担保するため、その調整および準備に時間を要した。このため、計画していた研究スケジュールを変更するに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、ラット脳損傷モデルを作製し、重心測定システムおよび歩行動作を中心とした行動学的評価を行い、これらに対する姿勢調節能力の回復に関する検討を行う。具体的には大脳皮質および小脳の吸引除去、視床の電気および化学的損傷を加えたラット脳損傷モデルを作製し、これらに対するラット用重心動揺計および筋電図学的測定を行う。 その際、前後・左右に異なる傾斜刺激と傾斜速度による外乱を与え、脳損傷に伴う姿勢調節障害の評価を行う。併せて歩行動作の評価を行い、脳損傷に伴う姿勢調節障害の歩行動作への影響について検討する。加えて、脳損傷後、約数週間の歩行を中心としたトレーニングを実施し、リハビリ介入による効果も検証する。全ての測定が終了後、脳損傷の程度を確認するため組織学的に検討する。 以上より、健常ラット群およびラット脳損傷モデル群(介入および非介入群)のデータを統計学的に比較・検討し、中枢神経損傷による姿勢調節障害の特徴および回復過程について考察する。これにより、異なる脳損傷による姿勢調節障害の特徴の違いを定量的に明らかにすると共に、そのメカニズムの解明およびリハビリ介入の有効性について明らかにしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究スケジュールの変更により、予定していた実験動物の使用数が少なかったため、実験動物の購入・飼育費やその他の備品購入、研究成果の発表に関わる諸経費等において残額が発生した。平成25年度は主に実験動物の購入費・飼育費・備品(記録用電極や試薬)、研究成果の発表に関わる諸経費、実験補助および論文校閲に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)