2011 Fiscal Year Research-status Report
高齢者、障害者のスキューバダイビングにおける循環生理学的研究
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23650332
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
伊佐地 隆 帝京大学, 医学部, 准教授 (80193233)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | スキューバダイビング / 血圧 / 心電図 / 心拍数 / 酸素飽和度 / 障害者 / 高齢者 |
Research Abstract |
先行研究がないため測定の成否確認と予行練習のため、試行から始めた。<試行10.23>プール。健常男性53歳(0101)と40歳(0102)で試行。squeezeのためマンシェットに加圧できず血圧が測定できなかった。マンシェット周囲に空間を保つようスーツ上腕部に塩化ビニル管を入れる準備をした。<血圧測定環境の修正12.18>対象0101。プールにて塩ビ管を装着して再試行。2回の試行で管の太さ長さを決定した。データは得られたが安定性はなく、ディスポマンシェットから連用タイプへの変更を決定した。<高圧下での確認2.2>対象0101。簡易高圧カプセル(OasisO2)を借り1.3気圧下で試行。安静臥位で安静時-加圧時-高圧下-減圧時各10分間測定した。スーツ有無の影響も両モードで測定し確認した。問題なく測定でき、圧より測定肢や体動の方が阻害因子になることがわかった。 ここまでで測定環境が整い本測定に入った。<海洋測定2.19>対象0101。小田原の海洋。1本目のダイビングで著明な水没を起こし機器も濡れ、応急処置し継続したが、2本目も同様に水没し機器が損壊した。原因はスーツの裂孔であった。装着中の測定はできダイビング中の血圧も一部得られた。<海洋本測定>3.11に0101、3.20に33歳脳性麻痺男性(0201)を対象に同海洋で測定。どちらもビーチエントリーとなったため、入出水と潜行に困難があり不安定なデータだが、平均血圧はダイビング時-日中-夜間で(0101)190/100-133/89-124/88、(0201)199/108-162/97-157/81とダイビング時の上昇が確認された。心拍数は入出水時等に明らかに上昇したが、酸素飽和度、心電図波形のダイビング時と日常生活時の変化は明らかではなかった。 予想外の測定困難条件に難航したが、測定可能環境が整ったことは意義深い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1.研究実施までの準備 7月までにICRwebを修了し、所属学部倫理委員会と利益相反管理委員会へ審査申請し、8月19日付けで承認(帝医倫11-047号、TUSM-COI 11-360)を得た。2.測定環境の準備 測定機器FM-800、ドライスーツとも納入が7月末で使用環境が整ったのは9月であったため、まずは研究に入るのが遅れた。実際の測定は試行から開始したが、その結果血圧が測定できないなど予想外に測定困難な条件があり、その解決に時間を要した。また機器の防水対策も予想される対処をして臨んだにもかかわらず、血圧測定時に送り込む空気の吸気が機器の隙間から行われていたため、予想外の水濡れによる損壊事故を経験し、防水対策にもさらに慎重になる必要性が求められ、本格的な測定に入るまでに4~5カ月を要してしまった。 ようやく測定環境が整い2例の測定は行うことができたので、今後はスムーズに対象の増加と測定データの蓄積ができる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
1.対象者の招集 初年度は測定環境が整わなかったため、積極的な対象者(被験者)の招集ができなかった。24年度は、今まで打診をしていながら正式な招集に至らなかった各方面に改めて声をかけ、対象者の招集を積極的に進めていく。具体的には日本バリアフリーダイビング協会本部(那覇市)と同関東事務局(文京区)およびその関係者であるダイビングインストラクターに直接働きかけると同時に、承諾を得て各事務所に「研究協力のお願い」のポスター、チラシを設置する。対象になる人のダイビングスケジュールにこちらが合わせることでそのスムーズな蓄積を図る。この部分には24年度から新たに加わる予定の分担研究者の協力も得ていく。24年度だけで最低でも障害者、高齢者、健常者各群5例の全15例の測定を確保する。2.測定データの安定した収集 初年度の反省をもとに、今後はボートエントリーでできるだけゆったりとしたダイビングを行うようにし、特に血圧と酸素飽和度のデータが安定して得られるよう留意する。協力していただくインストラクターにはそれを徹底する。3.研究成果発表 24年度中に初年度のデータの一部を関連学会で発表する。また24年度内に募集が行われる25年度の学会への応募もしていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
対象者は自分のレジャーとしてダイビングをする人のうち同意が得られる人であり、ダイビング費用そのものは各自の負担となるため、初年度の試験測定等における費用支出とは異なる考え方で臨むことを徹底し、ダイビングそのものに要する研究費の支出は最小限、すなわち測定のための消耗品と、対象者以外の協力者への謝礼およびこの測定のために余分にかかる旅費等程度とする。検者(研究代表者)の旅費はいつでも測定にいけるよう確保しておく。
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