2012 Fiscal Year Research-status Report
高齢者、障害者のスキューバダイビングにおける循環生理学的研究
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23650332
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
伊佐地 隆 帝京大学, 医学部, 准教授 (80193233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 千穂 熊本保健科学大学, 保健科学部, 講師 (30569603)
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Keywords | スキューバダイビング / 血圧 / 心電図 / 心拍数 / 酸素飽和度 / 障害者 / 高齢者 |
Research Abstract |
23年度中に整った測定環境を基に、24年度は積極的に測定を実施した。 6月沖縄で健常者(S)2名、障害者(D)1名、7月伊豆でD2名、9月沖縄でS3名、12月沖縄でD3名、3月沖縄でS2名、D1名の計14名を被験者として実施した。Sの内訳は20代、30代女性各1、40代女性2、40代男性3で、Dは40代男性頭部外傷1、50代男性頭部外傷3、50代女性二分脊椎1、20代女性脊髄性筋萎縮症1、60代女性視覚障害1であった。このうち、50代男性頭部外傷2と60代女性視覚障害1のD3名はうまく測定できず、データがとれたのはS7名、D4名、計11名であった(すべて延べ人数)。 測定できた被験者はすべて2本のダイビングを含む1日の心電図、血圧、酸素飽和度のデータを得ることができた。 心電図からは、心室性、上室性期外収縮の一方または両方がみられたが、特にダイビング時に多く出るわけではなく、その他の場面と同程度に出ていた。心拍数はダイビング中に明らかな特徴的な変化を示す例はなく、睡眠時に最小を、日中の活動時に最大を記録する傾向があった。一方血圧はダイビング中に明らかに高い値を示し、その前後にも高くなる例が半数程度にみられた。ダイビングの時間や深度の経過による変化に明らかな傾向はみられなかった。血圧の最大値はダイビング中、最小値は睡眠中に記録された。酸素飽和度は日常生活時よりもダイビング中の方が安定して高い値を示す傾向がみられた。 23年度の3名を加えて、のべ17名の被験者で13名分のデータが得られた。S8名、D5名であり、ほぼ計画の対象数が実施できた。これまでになかった系統立ったダイビング中のデータが得られた。これらはすべて新しい知見となる。SとDの比較ではダイビング時の循環生理学的変化はどちらも同じような傾向がみられているが、高齢者のデータが得られていないので、今後比較していく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度までに測定環境を整え、ポスター、チラシも作成して関係者に被験者を依頼し続けてきた結果、希望者や承諾者が順調にあがるようになり、測定スケジュールを組むことができた。上半期は6月の沖縄(久米島)、7月の伊豆(八幡野)でそれぞれ複数の被験者を、真夏は避けて下半期は9月、12月に沖縄(渡嘉敷島)で、真冬を越えて翌3月沖縄(石垣島)でそれぞれ複数の被験者を測定でき、24年度はのべ14名の測定ができた。これで23年度から累計17名となった。3年間での予定が25名なので、順調なペースといえる。 測定手順や測定協力者の理解も進み、落ち着いて測定に対することができるようになり、測定データも比較的安定して順調に得られるようになった。重度の障害がある方の場合は想定外の事態に遭遇し、うまくデータが得られない例が3例あったが、原因を回避しつつ対応することもできるようになり、そのうち一例は最終的には測定できた。 11月に潜水医学関係の学会で発表した結果、安全潜水関係者から興味を示す問い合わせもあり、今後の被験者の測定予定もすでに決まりつつあり、25年度早期に予定の数に達する見込みもたっている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.対象者の招集 新たに研究に興味を持ってくれた安全潜水関係者を通じて、おもに高齢ダイバーの協力が得られるようになっているので、25年度はその方々の測定を進めていく。すでに7~8名からの申し出があり、測定スケジュールを組んでいく予定である。最終的に障害者、高齢者ともそれぞれ10名前後の対象数になる予定である。 2.測定データの安定した収集 測定データの安定した収集については、これまで蓄積した経験で、すべての被験者のデータが使えるものとなるよう、できるだけ無駄のないように収集できるようにする。 3.研究成果発表 24年度同様にデータの一部を関連学会で発表する。また25年度は障害者のデータをリハビリテーション、障害者スポーツ関係の学会でも発表する。さらに論文化にも着手する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
これまでの研究費使用と同様に、ダイビングに伴う旅費等の費用支出を予定している。測定ダイビングについては、通常のレジャーダイビングとはかなり違ったダイビングになるため、被験者のダイビング費用は負担を希望する例が多かったので、それについても考慮する。 また最終年度なので、論文作成費用、報告書作成費用も確保しておく。
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