2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23650334
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
大西 久男 大阪府立大学, 総合リハビリテーション学部, 准教授 (80194231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高畑 進一 大阪府立大学, 総合リハビリテーション学部, 教授 (70342219)
内藤 泰男 大阪府立大学, 総合リハビリテーション学部, 准教授 (40342224)
田中 宏明 大阪府立大学, 総合リハビリテーション学部, 助教 (60364030)
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Keywords | 模倣と観察 / ミラーニューロンシステム / 脳磁図 / 光トポグラフィ |
Research Abstract |
本研究の目的は、①模倣・観察課題時の脳律動の変化を、脳磁図計測の結果から標準化すること、②失語症患者、失行症患者の分析より、IFG(下前頭回)およびIPL(下部頭頂小葉)の役割を検討すること、および③失行症患者における、模倣と実行の障害のメカニズムを再検討することである。 平成24年度は、10名の健常大学生に対して行った観察・模倣課題時の脳律動変化の分析を、個別およびグループで検討することに主眼が置かれた。分析結果の概要は、観察時にIFGとIPLの関与が認められ、ミラーニューロン関連部位に関しては、これまでの研究結果と同様であることが認められたが、脳律動変化に関しては、個人差の大きいことも認められた。 一方で、大阪府立大学所有の16ch光イメージング脳機能測定装置(光トポグラフィ)が、脳磁図の簡易版として利用可能かの検討を行うために、脳磁図計測での観察・模倣課題を一部修正した実験刺激を作成し、大阪府立大学学生を実験協力者として計測をした。分析結果は、酸化ヘモグロビン濃度の増加領域は、脳磁計の結果に矛盾しないものであった。 患者群(失語症および失行症)の計測に関しては、症候を有する患者の病巣が広範な者が多く、IFGおよびIPLの機能以外の要因が含まれてくると判断し、再考を行い、MRI所見で、IFGあるいはIPLにほぼ限局した患者群(症候は問わない)と錐体外路系障害ではあるが行為障害を有するパーキンソン患者群で脳磁図計測を行っていくことにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
健常者を対象とした脳磁図計測により、指模倣の観察時および模倣時における、IFG(下部前頭回)とIPL(下部頭頂葉)の関与と(個人差はあるが)脳律動の時間的推移に関しては、確認された。 しかしながら、失語症患者と失行症患者群の計測においては、「適切な」患者不在であったため、患者群の選定について再考する必要性が生じた。検討の結果、失語症や失行症にこだわらず、IFGやIPLに(ほぼ)限局性の病巣を有する脳外科患者に患者群の範囲を広げることとで、実施していくことになり、大阪府立大学および大阪大学医学部附属病院の倫理審査を受けている。 一方、16チャンネルの光トポグラフィ-での簡易計測を並行して行ったが、健常者の場合は、精密さには欠けるが、脳磁図計測でのモデルに、おおむね対応する結果が得られている。 患者群の脳磁図計測に関しての「遅延」がある。
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Strategy for Future Research Activity |
患者群の計測に関しては、失語症(IFG損傷)および失行症(IPL損傷)にこだわらず、MRI所見で、IFGあるいはIPLにほぼ限局した患者群(症候は問わない)と錐体外路系障害ではあるが行為障害を有するパーキンソン患者群で脳磁図計測を行っていくことにした。その上で、健常者群との比較検討を行い、行為のメカニズムを解明していきたいと考えている。 今年度前半のうちに、患者群のデータをある程度蓄積し、分析・検討を行い、まとめていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、本来は当該年度までに行うべきであった患者群(10名程度)の脳磁図計測を、早い時期のうちに行う。これに伴う、謝金および脳磁計使用料が必要になる[謝金:5千円×10名=50千円;使用料(その他枠):30千円×10名=300千円]。 並行して、健常群の再検討を行いながら、患者群の特徴(損傷部位や行為障害の有無等)と比較検討し、生理学的所見と神経心理学的所見の双方から、指運動模倣課題時の脳内過程をまとめていく予定である。 一方で、16チャンネル光トポグラフィ-の臨床場面での有効性(妥当性)に関しての検討も行う。 研究成果について、学会発表および論文投稿を積極的に行い、報告書にまとめる予定にしている[旅費:400千円;論文投稿関係(その他枠):150千円;報告書印刷等(その他枠):100千円]。
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