2012 Fiscal Year Research-status Report
運動学習によって脳内ネットワークはいかに変化するか
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23650335
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Research Institution | Jobu University |
Principal Investigator |
関口 浩文 上武大学, ビジネス情報学部, 准教授 (20392201)
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Keywords | 経頭蓋磁気刺激 / 脳波 / 脳神経ネットワーク / 運動学習 |
Research Abstract |
これまでに我々は,近年急速に発展し,今後の幅広い応用が非常に期待される経頭蓋磁気刺激(Transcranial Magnetic Stimulation; TMS)と脳波(Electroencephalogram; EEG)の同時記録(TMS-EEG)において,刺激直後の短潜時成分から精度良く記録できる手法を開発・発表した(Sekiguchi et al. 2010 Clinical Neurophysiology). 本研究はこの手法を用いて,障害者のリハビリテーションおよび健常者のトレーニングにおいて“脳神経ネットワークにおける学習定着の経時的変化”を明らかにすることを目的としている.その際,障害者においては脳梗塞,パーキンソン病,小脳変性症などの患者を対象に指の分離運動に着目し,これを習熟するまでの変化を追うことで,疾患により脳神経ネットワークの学習に対する変化にどのような違い・特性があるのかを明らかにする.また健常者に関しては指のタッピング運動における運動系列学習課題と鏡映描写を用いた運動順応学習課題においてトレーニングに伴う脳神経ネットワークの変化を追う予定である. 平成24年度における研究の進捗状況として,本大学の健常な学生11名に対し,タッピング運動課題ないし鏡映描写課題,あるいはその両方の課題を別日程で実施し,それぞれの課題において8名のデータを取得した.タッピング運動課題においても鏡映描写課題においても初回に比べ1時間の休憩後,トレーニング期間,1週間後の計測において,パフォーマンスが有意に改善されていった.それに伴う脳波の解析は現在鋭意実施しているところである. 一方,某医療大学における障害者対象の研究に関しては倫理委員会を未だ通っておらず,連携研究者からは今年度6月の倫理委員会にて承認の見込みとの報告を受けている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トレーニングを伴う研究のため被験者1名からデータを取得するのに1週間かかり,多くのデータを取得するためには非常に長期間を要するが,健常被験者に関するデータ取得は概ね順調にできたと考えられる. 一方,障害者を対象とした研究に関しては,研究協力先での倫理委員会をまだ通過できていない.しかしながら,トレーニングに伴う脳神経ネットワークの変化を健常被験者で同定できれば,手法として確立できると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度取得した脳波データを詳細に解析し,結果によっては測定手順や測定変数(経頭蓋磁気刺激の刺激強度など)に関して再考し,さらにデータを取得・解析して今年度中の論文投稿を目指す. 倫理委員会を通過し,障害者対象の研究に着手できれば健常者との比較など研究を広げて行きたい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は,被験者の実験参加謝礼(謝金)および研究に必要となった消耗品または物品の購入,そして情報収集を目的とした学会参加のための参加費・旅費・宿泊費,また研究成果発表のための英文校閲費等に使用する.
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