2011 Fiscal Year Research-status Report
ラット神経因性疼痛モデルに対する理学療法の電気生理学的指標による客観的評価の試み
Project/Area Number |
23650342
|
Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
山岡 薫 広島国際大学, 保健医療学部, 教授 (10200586)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 淳也 広島国際大学, 保健医療学部, 准教授 (00435059)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 慢性疼痛 / 理学療法 / 後根神経節 / 神経因性疼痛 / ラット / 電気生理学 |
Research Abstract |
本研究は神経の損傷などによって、慢性疼痛を呈する疾患群(神経因性疼痛)に対する理学療法について客観的評価を与えその有効性を示すことが目的である。具体的にはラットの神経因性疼痛モデルを作成し、理学療法を施行、その症状の観察と感覚神経の性状の変化を明らかにする。平成23年度においては、ラットの神経因性疼痛モデルを作成すること、およびモデル動物から取り出した後根神経節細胞を単離し、その電気生理学的性質を比較することとした。神経因性疼痛モデルはラットの坐骨神経を切断、あるいは絞扼した。坐骨神経を切断したグループにおいては、疼痛閾値のテスト(プランターテストとFon Freyテスト)において、コントロール動物(坐骨神経を切断・絞扼しない)あるいは対側肢に対し閾値は不変が上昇していた。次に坐骨神経を絞扼した。絞扼においては7号絹糸あるいは5号絹糸を用いた。5号絹糸を用いた群では感覚閾値の不変、あるいは上昇がみられたが、7号絹糸を用いることによって、感覚閾値の低下がみられた。すなわち坐骨神経を細い絹糸で絞扼することで神経因性モデルラットを作成することが出来た。神経因性モデルラットを作成中においてはコントロール動物からの後根神経節細胞の単離技術の確立に努めた。さらに次年度以降に予定している理学療法の試行を行った。理学療法には運動療法とTENS (経皮的末梢神経電気刺激)を行う予定であるが運動療法の試行を行った。運動療法は水泳を37°Cの温水中で行った。ラットは水槽中の底に後肢が届く範囲においては自発的に水泳を持続しないことがわかった。そこでラットの骨盤周囲にウレタン素材の浮輪を付けることを考案・試行中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定では神経因性モデルラットを作成し、その動物から取り出した後根神経節細胞の性状を明らかにすることであった。そのために感覚閾値を測定する装置として、熱刺激および機会刺激の閾値を測定するため、プランターテストとVon Freyを導入した。プランターテストの納入が10月であったが、ラットが足底に熱を感じて後肢を引っ込めるまでの時間を測定するが、後肢を引っ込めることの感知が不能であり、その原因が基板の故障にあった。メーカー代理店に問い合わせ等を行い、実験が可能になるまでほぼ2ヶ月もかかってしまい、その分研究の進行が遅れてしまった。坐骨神経の損傷による神経因性疼痛モデルラットの作成も試行を繰り返したが、神経を損傷しすぎても、無傷でもダメでちょうどよい障害を与えるためには、7号絹糸を坐骨神経に2回適度な緊張で絞扼することが必要であることがわかった。神経因性疼痛モデルラットの作成が可能となったばかりで後根神経節細胞の性状についての結果はまだ出ていない。一方次年度予定の理学療法の試行を行い、実施方法を改良中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度実施が十分でなかった後根神経節細胞単離とその電気生理学的性質についての研究を中心に行う。神経因性モデルラットにおいても、坐骨神経絞扼や圧迫の方法についても、クロム処理を施した絹糸を使用するなどさらに検討を加える。運動療法の水泳についても、もし自発的運動の持続が難しいようであれば、ラット用ラニングホイールやトレッドミルの使用も考える。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度は購入した感覚閾値測定機のうち、プランターテストの基板が故障し、その修理および代替機器の借りだしをする必要に迫られた。その結果研究計画実施の遅れもあり消耗品費の使用が十分出来なかった。本年度においては電気生理実験やモデル作成において昨年度分の残額(442,082円)と本年度分の直接経費(500,000万円)の総額942,082円のうち、およそ80万円を試薬・消耗品などに、残りを旅費、謝金に使用する予定である。
|