2012 Fiscal Year Research-status Report
ラット神経因性疼痛モデルに対する理学療法の電気生理学的指標による客観的評価の試み
Project/Area Number |
23650342
|
Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
山岡 薫 広島国際大学, 保健医療学部, 教授 (10200586)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 淳也 広島国際大学, 保健医療学部, 准教授 (00435059)
|
Keywords | 慢性疼痛 / 理学療法 / 後根神経節 / 神経因性疼痛 / ラット |
Research Abstract |
本研究はラットの坐骨神経を損傷させ作成した疼痛モデル(慢性疼痛モデル)に対し、種々の理学療法を行い、その客観的評価を与え痛みに対する有効な理学療法を示すことが目的である。平成23年度においては、ラットの神経因性疼痛モデルを作成すること、およびモデル動物から取り出した後根神経節細胞を単離し、その電気生理学的性質を比較することとした。坐骨神経の損傷には坐骨神経の1)絞扼、2)部分損傷 3)切断の3つの方法を用いた。そして疼痛閾値の評価はプランターテストとFon Freyテストで行った。絞扼群8例のうち有意な閾値低下は3例のみに見られた。切断群、部分切断群では 閾値低下が見られなかった。そこでFCAアジュバントを足底に注入する疼痛モデルを試みたが、3例とも疼痛閾値の低下は見られなかった。理学療法の介入においてはラットの水浴は尾に50ccのプラスチックチューブを付けることで、1回あたり、90分間の水浴が可能となった。また、経皮的末梢神経電気刺激(TENS)を頸骨上端から1/3の部位に行った。また全身振動装置による振動による閾値低下の効果も検討した。絞扼群で疼痛閾値の低下が見られた2例にTENSを施すと有意に閾値の上昇が見られ、治療効果が確認された。他の理学療法においては、痛み閾値低下を示した例が得られなかったので効果については結論が出ていない。研究を遂行する上で痛み動物の作成を安定的にできなかったことが重要な課題として残った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1年目のプランターテストの機器のトラブルが影響をしているが、結果的に遅れている原因は痛み動物の作成が困難であったことにつきる。神経を絞扼する糸として、原法で用いられたクローム処理のカットグートが手にはいらないことも一因であろう。カットグートは牛の腸を糸にしたもので、その抗原性が神経周囲の炎症を招くので、慢性疼痛を起こすには最適である。絹糸も動物の蛋白なので抗原性がある程度は存在するが、十分でないと考えられる。クロム剤は皮革のなめし剤として使用されるものではカットグートがクロム処理されているのは、糸を丈夫にするためである。そのクロム剤が組織に炎症を起こすと考えられる。そのため絹糸にクロム染色処理を行い絞扼を試みたが、明らかな閾値低下が現在まで見られていない。染色の処理や糸の種類などについても今後検討を加える必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
疼痛動物の作成方法の改善に取り組む。クロム処理に加え(糸への浸透を長時間にするなど)、糸の神経に対する圧迫の程度、絞扼の回数、部分損傷の例数を増やすなどの対策を行う。後根神経節単離については、前年度まで単離を試みたが、細胞数の少なさなどから電気生理実験に供するまでの細胞は作成できなかった。今期までに細胞数を増加させ、生理実験を可能とする。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験を行うための施設は整っている。次年度においてはラットの購入。細胞単離の試薬等、ほぼすべてを消耗品として計上する予定である。
|