2013 Fiscal Year Annual Research Report
ラット神経因性疼痛モデルに対する理学療法の電気生理学的指標による客観的評価の試み
Project/Area Number |
23650342
|
Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
山岡 薫 広島国際大学, 総合リハビリテーション学部, 教授 (10200586)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 淳也 広島国際大学, 総合リハビリテーション学部, 准教授 (00435059)
|
Keywords | 慢性疼痛 / 電位依存性Naチャネル / 後根神経節細胞 / テトロドトキシン |
Research Abstract |
慢性疼痛モデルラットを作成し、理学療法の疼痛に対する効果を見た。昨年行った坐骨神経絞扼による疼痛作成は再現性が乏しくあまりうまくいったとは言えない。そこで今回はパクリタクセルという抗がん剤による疼痛作成を試みた(2mg/kg体重×隔日4回)。投与前後で有意に機械刺激の疼痛閾値は低下したが、温熱刺激は変化しなかった。これらの疼痛ラットに水浴や経皮的末梢神経刺激を行ったが、疼痛閾値の有意な上昇(痛みの軽減)は見られなかった。一方、疼痛ラットおよび、コントロールラットの後根神経節細胞を取り出し、膜電位固定法によりNa電流を測定した。慢性疼痛において、侵害刺激がなくとも疼痛を発する機序として、痛みを伝える神経径路のどこかに改変が起きていることが考えられる。このような疼痛モデルでは感覚の一次ニューロンである後根神経節細胞(DRG)が自発的に興奮するか、閾値が低下している可能性が考えられる。従って本研究ではDRGの興奮性に最も影響すると思われるNaチャネルの性質が変わるかどうかを検討した。電位依存性チャネルは全身に9種類が存在することが知られているが、それらはフグ毒であるテトロドトキシン(TTX)にブロックされるかされないかで大きく分類でき、それぞれ,TTX-感受性(TTXs), TTX抵抗性(TTXr)という。痛みを選択的に伝える細胞はC線維とAδがあるがAδは髄鞘をもち、細胞体が大きく, C線維は細胞体が小さい。DRGにあるC線維はTTXrであるNav1.8が多く発現していると言われ、このチャネルは低電位から活動し、このチャネルの含まれる割合が大きいと活動電位の閾値が下がる。そのため今回は細胞の大きさとTTXsチャネルとTTXrチャネルの関係を調べた。予想に反して慢性疼痛ラットから得られた細胞は細胞が小さいほどTTXsの割合が大きかった。
|