2011 Fiscal Year Research-status Report
布状アクチュエータによる皮膚接着型ハプティック・ディスプレイの創製
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23650344
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
笹川 和彦 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (50250676)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 接触圧力 / センサ / せん断応力 / ハプティックインターフェイス / バーチャルリアリティ |
Research Abstract |
本年度は,接着型のハプティック・ディスプレイ(HD)構築の基礎を確立するために,次の研究項目を実施し,触覚提示機構の基本的構造の開発を図った。(I)導電-収縮機構の考察と機能性試験に基づいたEAP素材の選定 現在開発されている電気活性高分子材料(EAP)内の導電機構とイオン拡散による伸縮機構に関して,アクチュエータ機能の観点から考察を行った。さらに,理論的考察を基に機構材料の候補として挙げたポリピロールとポリチオフェン薄膜の短冊状試験片を作製し,厚さ方向に電場を負荷した状態でEAP素材のたわみ変位量を測定することにより,電場-変位特性を調査した。この際,試験片の厚さ,幅,長さなどの形状に関するパラメータを変化させた。これらの基礎データから本HDに用いるアクチュエータ材料としてポリピロール薄膜を選定した。また,同薄膜の伸縮機能に対する乾燥の影響について実験的な検討を行い,乾燥による伸縮機能の低下と再湿潤による機能の復帰が観察され,EAP内の水分量が伸縮機能に重要な影響を与えることがわかった。(II)触覚提示のための基本的機構の設計と試作 作製したEAP薄膜をテーパのついた短冊状に切断し,これを互い違いに配置したものを縦糸および横糸にして編み込むことを考案し,布状のアクチュエータ構造の設計を行った。また,布状アクチュエータよりも簡便に実現可能なゼンマイ型の触覚提示機構を考案し,試作を行った。EAP薄膜の両面にスパッタ法によって金属薄膜を成膜した後,長い短冊状に切断し,これをコイル状に成形したアクチュエータ機構を作製した。膜厚方向に正と負の電場を負荷した場合の曲率の変化を計測することにより,可逆的に曲率の制御が可能であることを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究項目「導電-収縮機構の考察と機能性試験に基づいたEAP素材の選定」に関しては,電場-伸縮力特性と電場-変位特性の双方に基づいてEAP素材を選定する予定であったが,電場-変位特性のみの観点から選定を行った。一方,機能性評価の過程で,伸縮機能に関するEAP素材の乾燥の影響がHD構築に重要であることが判明し,この特性の検討については予定していなかったが,この観点からも検討して素材の選定を行った。 項目「触覚提示のための基本的機構の設計と試作」に関しては,EAPを編み込むことによる布状のアクチュエータ構造の試作には至らなかったが,機能の発現を踏まえた具体的な構造設計を行うことができた。一方,布状アクチュエータよりも簡便に実現可能なゼンマイ型の触覚提示機構を発案し,これを試作するとともにその有効性を検証することができた。 さらに,次年度の予定であったフィードバック用接触圧力・せん断応力センサの開発も先行して着手した。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には初年度に立案した計画で研究を推進する予定であるが,これに先立ち,本年度実施予定であった「電場-伸縮力特性の評価」とテーパ短冊状EAPを編み込むことによる「布状のアクチュエータ構造の試作」を来年度の早い時期に完了する。その後,当初予定の研究項目(III)荷重と変位範囲拡大による触覚提示機構の高度化,および(IV)接触圧力・せん断応力センサとの融合と機能評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「電場-伸縮力特性の評価」に用いる荷重計測装置,「布状のアクチュエータ構造の試作」のためのEAP素材や薄膜電極などのアクチュエータの構成材料,高度化のために作製する触覚提示機構,フィードバック用接触圧力・せん断応力センサの材料などの実験用消耗品を購入する。また,11月に台湾で開催される実験力学国際会議などにおいて研究成果を発表するための旅費に使用する。
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Research Products
(3 results)