2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23650348
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
木竜 徹 新潟大学, 自然科学系, 教授 (80115021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩城 護 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (20262595)
村山 敏夫 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (50568368)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 福祉用具・支援機器 / 神経工学 / アシスト / 筋シナジー |
Research Abstract |
その場で自転車運動時の筋活動・疲労を定量化し,筋力低下時での搭乗者にとってタイミングの良い電動アシスト制御を実現する.これは,疲労等により踏力アシストが必要な時点で効果器(筋)機能低下由来を根拠とする適度なアシスト量を提供するもので,生体機能にとって安全で効果的な電動アシスト制御を目指したものである.平成23年度は,計測・制御ユニットの設計にあたり実用向き生体機能計測策と,その場,その時点に相応しい神経工学的アシストの方策を検討した.この際,筋活動計測では表面電極の貼付位置に関して,筋活動を広範囲で計測できるマトリックス電極を用い,実際に使用しているアレイ電極で求めた神経支配帯の影響を避けた貼付位置での,筋疲労由来の評価指標の振る舞いを調査した.その結果,皮膚下の筋の動きが懸念される自転車運動時でも十分に筋疲労度推定が可能であることを確認した.また,60rpmペダリング時の筋疲労の時間スケール(数10秒~数分)を考慮し,筋電図計測に数10秒(数10 ストローク),評価指標の時系列変化を1秒毎に推定することで,10数秒先の筋活動評価指標を予測し,アシストのタイミングとアシスト量を決定する方法を考案した. それらに基づき,屋内で自転車エルゴメータの漸増負荷制御中での心拍,筋活動(外側広筋,大腿二頭筋,腓腹筋,前脛骨筋)を対象に,一括(スレッド)処理で計測・制御を実現するユニット試作の設計を行った.すなわち,LinuxボードにDSPを実装した小型ユニットで疲労の計測・推定とアシスト制御を実現するシーケンスを再構築し,個人向け調整プロセスを試行した.一方,筋活動パターン解析済み計測データ(疲労度など推定済み)を精査した後,成分分析(主成分分析と独立性分分析)でペダリング運動時での筋シナジー要素を推定し,アシスト制御に適当な筋活動パターン推定を調査した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
達成度は60%である. DSP実装ユニットの再構築にあたり,計測(A/D)とDSPによる解析処理機能を分けるよりは,Linuxで計測・分析・制御のすべてを実施することで構成を統一し,Linuxの基本動作を実現するプログラム開発ツールを外注する事とした.この方針転換で,遅れが生じた.しかし,基本設計が完了したので試作器の製作を平成24年度当初から開始の予定である. 一方,計測・処理済みデータの精査と筋シナジー推定法及び熟練度・疲労度から見た筋シナジーに関して,屋内(自転車エルゴメータ)と屋外(電動自転車)での計測済みデータから対象データ候補を選択した.筋シナジーの推定法の検討及び熟練度,筋疲労への筋シナジー関与の比較は平成23年度末時点では未完了である.
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Strategy for Future Research Activity |
6月頃迄に,1)平成23年度の基本設計に基づく計測・制御ユニットの完成.2)筋活動パターン解析済みデータから筋疲労時での筋収縮様式に特徴的な変化(共収縮/相反収縮)を示すサンプルデータを選択.その上で,サンプルデータに類似した特徴を示す参加者を選択し,屋内と屋外で心拍,筋活動を計測.3)筋シナジーの観点からサンプルデータに対して,疲労の計測・推定とアシスト制御に関わるタイミングとアシスト量をシミュレーションする.その上で,参加者に相応しい基本アシスト制御を設計. すべての準備が整ってから8月末迄,参加者毎に屋外実験でアシスト制御の調整を繰り返す.さらに,参加者を募ることで,その結果をペダリング運動の熟練度,疲労度と筋シナジー及びパフォーマンスの観点から精査する.具体的には,パフォーマンスにどの様な熟練度依存の基本筋シナジーが関与し,疲労による基本筋シナジーからの変動と運動継続時間との関係を探る.ここで,筋シナジーは運動に慣れてくるにつれて,また疲労につれて変化する事が予想される.そこで,運動に熟練や疲労の履歴データを様々な場面で活用できる様に,基本筋シナジーの経時変化を履歴データベース化する. 以上の結果を踏まえて,1)アシストシステム設計プロセス:熟練度の異なる被験者に対し,マルチ時間スケールアプローチにて個別のアシストシステム設計プロセスを構築.2)アシストパターンの逐次推定:基本筋シナジーからの変動分から筋疲労を推定し,アシストパターンを逐次推定する方策の確立.そして,3)自律神経系調整機能を高める効果の評価:疲労は心拍数からも計測されている.心拍数と筋電図とから疲労を定量化しウエルネスでの自律神経活動の関与を個人毎に明らかにし,自律神経系調整機能からの効果的なアシスト制御を設計する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
フィールド実験による検証を含め計測・制御ユニットのH24年度中頃の完成をめざす.また,数名の参加者に対する個人個人に相応しいアシスト調整を仕上げる.そのため,筋疲労時での筋収縮様式に特徴的な変化(共収縮/相反収縮)を示すサンプルデータに対し,筋シナジー依存のアシスト制御のシミュレーションを実施する.これと平行して,熟練度,疲労度に特徴のある複数の被験者による検証実験を実施する.
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Research Products
(2 results)