2011 Fiscal Year Research-status Report
複層構造物に対するヒトの指先の硬さ感覚・弁別特性~触診技術の定量化を目指して
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23650356
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
藤本 浩志 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (60209103)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 触覚 / 硬さ感覚 / 硬さ弁別 / 触診 / 凝り |
Research Abstract |
医療現場では若手の医療従事者の触診技術の向上を目指した『触診技術の習得支援モデル』が必要とされている.そのためには,モデル作製には統制の取れたテストピースの作製技術の確立,触診技術の観点からヒトの指先の硬さ感覚特性を理解しておくことが求められる.そこで本研究では,硬さ感覚に関する先行研究(千葉・土井・藤本,2006)の知見を基にし,将来的な触診技術の定量化を目指した基礎研究という位置付けで複層構造対象物に対する硬さ感覚特性を明らかにすることにした.複層構造の対象物としては,まずは弾性項(ヤング率)にのみ着目し,弾性をコントロール可能な熱可塑性樹脂から成る複層構造のテストピースを用いた.初年度は,厚さが同じ2層のテストピースを作製し,作製した2層構造のテストピースの硬度計測を行った.そして,2層の厚さが同じ条件で硬さ感覚特性評価実験を行った.その結果,下層のヤング率によらず,指先が表面に直接触れる上層のヤング率が優位であることが確認できた.また,上層のヤング率がある限られた範囲内にある場合には,直接触れない下層のヤング率の違いが硬さ感覚特性に影響を及ぼす可能性があることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では,将来的な触診技術の定量化を目指した基礎研究という位置付けで複層構造対象物に対する硬さ感覚特性を明らかにする.ここでは,複層構造の対象物としては,まずは弾性項(ヤング率)にのみ着目し,弾性をコントロール可能な熱可塑性樹脂から成る複層構造のテストピースを用いることにした.初年度は,テストピースを作製し,2層の厚さが同じ条件で硬さ感覚特性の評価実験も行うことができた.更に,次年度に向けての実験の準備もすることができた.それ故,計画以上に研究は進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は,2層の厚さが異なる条件で硬さ感覚特性を調べることで,対象物の厚さが硬さ感覚特性に及ぼす影響を評価する.最終年度は,対象物の接触動作にも着目し,対象物に対する押しこみ方と硬さ感覚について調べる実験を計画している.具体的には,2層構造の対象物に対して,触れる力の異なる条件で硬さ感覚評価実験を行う予定である.以上の研究を行うことで,将来的には医療従事者のニーズに応えられる凝りモデルの作製を実現したいと考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は,2層の厚さが異なる条件で硬さ感覚特性を調べることで,対象物の厚さが硬さ感覚特性に及ぼす影響を評価する.そのためには,対象物を押している力を測るために,「力センサ」,力センサとセットで使用する「ひずみゲージ式変換器(計装用コンディショナ)」を購入する計画で研究を推進する(設備備品費).また,硬さの異なるテストピースを作製するために必要な材料の購入も予定している(消耗品費).更に,本研究の成果発表や情報収集を行うための予算も(国内外の学会や展示会の参加費)も計上する予定である(旅費).そして,実験参加者への謝金及び,論文投稿料も含めて研究を進めていく予定である(謝金,その他(論文投稿料)).
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Research Products
(13 results)