2012 Fiscal Year Research-status Report
複層構造物に対するヒトの指先の硬さ感覚・弁別特性~触診技術の定量化を目指して
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23650356
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
藤本 浩志 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (60209103)
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Keywords | 触覚 / 硬さ感覚 / 硬さ弁別 / 触診 / 凝り |
Research Abstract |
医療現場や鍼灸現場では凝り等の同定に関して,体表から僅かな硬さの違いを触覚で識別する手法が活用されている.医療従事者の触診技術は,診断で適宜利用され,その後の治療方針決定にも影響を及ぼすとされている.一方で,触診技術はなかなか習得するのが困難であり,若手の医療従事者の触診技術の向上が求められている.具体事例としては,『凝り』や『肝硬変』を同定するスキル等が挙げられる.そこで本研究では,ヒトの層構造を構成する軟組織の触診に注目して,複層構造対象物に対する硬さ感覚・弁別特性を明らかにする. 前年度に引き続き,様々な硬さ特性を有する弾性体を作成し,それを用いて比率の異なる層構造を対象物として,硬さの知覚特性を明らかにした.また,最終的には『触診技術の習得支援モデル』のプロトタイプの開発を目標としているため,実際の人体の組織の中に発生する『凝り』の力学的なモデルのプロトタイプ開発を目指して,まず皮膚や深部の組織で構成される層構造の力学的な挙動を模擬できる材料の検討にも着手した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初から,最終年度で着手することを予定していた『触診技術の習得支援モデル』の検討に着手することができた. 従来から本研究室では,熱可塑性樹脂の材料を用いて,溶媒との混合比率を変えることにより,任意の弾性特性を表現できる製造方法のノウハウを構築してきた.本研究でもそれを基本的には用いる予定であるが,実際の人体の皮膚や深部組織の特性はやはり粘性的な特性も不可欠であることが分かってきた.そこで新たに粘弾性特性を備えた材料の検討を始めた.
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Strategy for Future Research Activity |
粘弾性特性を備えた層構造の材料を準備し,さらに正常なこれらの組織のシステムだけでは無く,正常な組織内部にいわゆる異物として存在する『凝り』を表現できる微小な材料の製作を検討し,正常な層構造組織の中に埋め込まれたモデルのプロトタイプの製作を目指す.この凝りを模擬する微小材料には,以下のような特性を持たせたい. (1)周辺の正常な層構造を構成する材料とは硬さ特性が異なること. (2)実際の能動的な触診動作ではいわゆる『逃げる』ような特性があるため,その可動性も模擬できること. また,熟達者の主観的な評価だけではなく,機械システムによって能動的な触診動作を行った際の反力パターンを定量的に計測することも考えたい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上述の通り,従来から用いてきた弾性材料に加えて,様々な反力特性を備えた粘弾性材料も検討する必要がある.具体的にはウレタン系のラバーを用い,さらに微小な硬質の樹脂で凝りに相等する組織を作成し,層構造の内部に埋め込む. また上の欄の最後に記したように,機械システムによって能動的な触診動作を模擬でき,同時に触診動作中の反力のパターンと分布を計測できるシステムを開発を目指したい.なお触診動作とは,接触子で組織を実際にある力で押し込んだ状態で,水平方向に移動させることを想定している.
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[Presentation] Development of Fabrication Technique for Accessible Design Pamphlet for Visually Impaired and Sighted Persons2012
Author(s)
Kouki Doi, Kensaku Soma, Takahiro Nishimura, Hiroshi Fujimoto, Susumu Ouchi, Yoshihiro Tanaka, Mayumi Sawada, Ken Kaneko, Katsuhiro Kanamori, Masaru Kawano, Tsutomu Wada
Organizer
World Congress on Medical Physics and Biomedical Engineering
Place of Presentation
Beijing, China
Year and Date
20120526-20120531