2012 Fiscal Year Research-status Report
座位から立位への姿勢変換における感覚参照枠再構成の時期と各種感覚情報の役割
Project/Area Number |
23650365
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
藤原 勝夫 金沢大学, 医学系, 教授 (60190089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
淺井 仁 金沢大学, 保健学系, 教授 (50167871)
外山 寛 金沢大学, 医学系, 准教授 (10172206)
前田 薫 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 講師 (00454687)
清田 岳臣 札幌国際大学, 人文学部, 准教授 (40434956)
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Keywords | 姿勢制御 / 感覚参照枠 / 立ち上がり動作 / ガルバニック刺激 / 視覚刺激 / 随伴陰性変動 / 筋電図 / 足圧中心 |
Research Abstract |
椅座位から立位への変換動作における、運動開始直前の感覚参照枠の再構成について検討した。本年度は、ガルバニック刺激および視覚刺激を実施した。初めに、(1)安静立位にて側方への身体傾斜が生じる刺激をS1(予備信号)-S2(刺激開始信号)課題のS2時点から5秒間負荷した。次に、以下のタイミングで刺激を負荷した:(2)S1-S2(動作開始信号)課題におけるS2までの5秒間、(3)S2の5秒前から動作終了時点まで、(4)動作終了時点から5秒間。ガルバニック刺激では、0.3-0.8mAの定電流刺激を用いた。(1)の条件では全被験者において刺激側に身体が傾斜し、(2)の条件では刺激側と反対側に身体が傾斜し、(4)の条件では(1)の条件と同方向に身体が傾斜した。(4)の条件での傾斜応答は(1)の条件よりも強かった。(3)の条件では刺激方向と同側に傾斜した被験者は半数であった。視覚刺激では、斜め縦縞を用いた。30度の傾斜で顕著な身体傾斜が生じることを確認した。刺激方向は、ランダムに変えた。身体傾斜応答の方向が安定していないことと、随伴性陰性変動(CNV)の測定を考慮し、刺激回数12-26回とした。(1)の条件では大多数の被験者が刺激の傾斜方向と同側に傾斜した。(2)の条件では刺激方向と反対側に傾斜する試行が多かった。(3) の条件では刺激方向と反対側に傾斜する試行が多かった。(4)の条件では刺激方向と同側に傾斜した被験者は半数であった。いずれの刺激でも、身体応答潜時(平均値)は、800-2500msであり、反射潜時よりも極めて長かった。以上のことから、立ち上がり動作直前に、立ち上がり動作終了時にもたらされる感覚情報を予測しているものと考えられた。ただし、両刺激とも立ち上がり動作中に恒常的に負荷されており、その用い方には、個人差および試行差が存在していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H24年度は、椅座位から立位への姿勢変換時の感覚参照枠再構成における、前庭情報と視覚情報の役割を個別に検討した。被験者は、それぞれ健康な若年成人13名とした。運動課題、感覚情報の負荷、記録項目、分析項目は平成23年度の実験に準じた。ただし、視覚情報の役割を検討する実験は、ゴーグル型ディスプレイを装着せずに開眼で行った。前庭刺激では、被験者ごとに身体傾斜応答を生じる閾値を測定し、それに0.3mAを加えた定電流を刺激とした。視覚刺激では、白黒の視角2度の縦縞模様を用いた。その模様の傾斜角が30度において、明確な身体応答を示すことを確認した。立ち上がり動作直前に、立ち上がり動作終了時にもたらされる感覚情報を予測しているという結果が得られた。また、アキレス腱および足底前部への振動刺激とは異なり、立ち上がり動作中にも視覚情報および前庭情報が用いられていることを裏付けるデータが得られた。さらに、立位到達時点でのそれらの感覚情報の用い方に、両刺激間および被験者間に差異があることを示唆する結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
後方への身体傾斜が現れるアキレス腱振動刺激と足底部(中足骨骨頭部)への加圧刺激と、右への身体傾斜が現れる前庭電気刺激と傾斜縦縞視覚刺激をそれぞれ組み合わせて同時に負荷する実験を行う。被験者は、それぞれ健康な若年成人13名とする。運動課題、感覚情報の負荷、記録項目、分析項目は平成23・24年度の実験に準ずる。得られた結果は、それぞれの感覚情報を単独で負荷した場合の結果(平成23・24年度)と比較する。これにより、参照枠再構成における各感覚情報の貢献度について、脳内準備過程とその個人差を含めて、明らかにする。昨年度までの研究結果は、外国雑誌への投稿と国際学会での発表によって広く公表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度は、藤原40万(物品費20万、旅費5万、人件費・謝金10万、その他5万)、浅井1万(旅費)、外山2万(旅費)、前田2万(旅費)、清田5万(旅費)とする。なお、繰越金が発生した理由は、残高調整ができなかったためであり、H25年度に使用する。
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