2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23650368
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Research Institution | 仙台高等専門学校 |
Principal Investigator |
宍戸 隆之 仙台高等専門学校, 総合科学系, 教授 (40331962)
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Keywords | 青年期 / 有酸素運動 / 遂行機能 |
Research Abstract |
【研究の目的】Pontifex & Hillman(2007)によって,中強度の有酸素運動中に,18~24歳の若年成人において,一時的に脳の遂行機能が低下することが報告された.しかしながら,Drolletteらは,9~11歳の思春期前の子供たちにおいて,中程度の強度のウォーキング中とウォーキング後の遂行機能が維持されることを明らかにした.遂行機能の運動の効果は,脳とその機能の発達や成熟の影響を受け、おそらく年齢に応じて変化する可能性がある.そこで,本研究では,脳組織が構造的に安定になった青年期の遂行機能について,中程度の強度の運動の効果を明らかにすることを目的とした. 【研究方法】抑制制御とワーキングメモリーのそれぞれを評価するために,flankerテストとN(0,1,2)バックテストを用いた.日本人青年期の15~16歳 (mean age = 15.7 ± 0.5 yr)を無作為に,以下の条件に割り振り,認知テストを実施した.1)最大心拍数のおそよ60~70%で,トレッドミルの上でウォーキング,2)およそ15分間椅子の上に座って,同様に認知テストを実施した.認知課題のタスクは,少なくとも1日間隔でランダムな順で行った. 【結果と考察】Flankerテストの正答率は,運動中と運動前のベースラインを比較して変化がなかった.しかしながら,運動後は,運動中と比較すると向上していた.Nバックテストの反応時間においては,運動中と比較して運動後は反応時間が短くなっていた.そして,運動中は,安静状態と比較すると長くなっていた. 青年期の場合,中程度の運動の効果は,二つの遂行機能のテストで一致しなかった.抑制制御に関する運動の効果は実質的にはみられず,ワーキングメモリ機能の一時的な低下は,中程度の運動中に観察された.これらの知見は,脳機能の成熟の移行的な段階を表しているかもしれない.
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