2011 Fiscal Year Research-status Report
摂食障害予防を目ざした身体像修復のための教育的アプローチ
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23650376
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
三宅 紀子 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 助教 (60137023)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 身体像 / 身体認知 / 青年期女子 / フーリエ解析 |
Research Abstract |
多くの人が体重の減少に関心が高く、ダイエット行動や痩せるための運動を実践している。この食行動問題に大きな影響を与えるのが身体像(ボディイメージ)であると言われ、拒食症患者においては身体像の歪みが認められると先行研究により指摘されている。 そこで今年度の研究では、健常の女子大学生がどのような身体像を有しているのかを詳細に分析、検討することを目的とした。身体像は本研究者が考案した身体描画法(研究参加者の全身写真の撮影および撮影直後のイメージ想起による全身自画像の描出)により調査された。次に身体描画法により得られた全身自画像と全身写真のアウトライン(枠線)をフーリエ解析により詳細に分析した。フーリエ解析は各画像を形態学的指標により108箇所をマークし、これを基に解析を行い、画像の違いを分析した。 その結果、本研究の研究参加者においては自画像の腰幅、大腿幅、下腿幅の数値が写真画像の数値よりも有意に小さいことが明らかとなった。つまり研究参加者は腰幅、大腿幅、下腿幅を実際よりも細くイメージしていることがわかった。これは欧米の女性が細い身体を理想とする文化と同じ傾向にあり、日本においても青年期の女性では痩身を理想とする傾向が強いことが明らかとなった。また、身体像を認識する際に腰幅、大腿幅、下腿幅に代表される下半身を特に意識する傾向が見い出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
身体描画法による調査に時間が掛かったことに加え、手続きが煩雑なフーリエ解析を用いた分析に予想以上の時間が掛かってしまった。そのため次の作業である「自己分析ワークシート」作成のための基礎データの分析が進んでいない。次年度はアルバイトを雇用して、データの入力や基本的な分析を進めることにより、研究の速やかな進捗を図ろうと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は調査に予想以上の時間が掛かってしまったことにより、予定していた分析が進まず、結果的に執行できない予算が出てしまった。今後はアルバイト雇用などにより速やかなデータ入力や基本的分析を進めようと計画している。具体的には、まず取得したデータおよび先行研究を基に身体像の「自己分析ワークシート」を作成する。次に「自己分析ワークシート」を用いた介入の有効性を検証するために実験を行う。実験は、<事前調査→身体描画法および自己分析ワークシートを用いた介入→事後調査>の実験デザインに依り、介入前後の研究参加者の摂食態度および身体に関する諸指標(身体満足度、身体関心度、体型認識度、身体に対する感情、身体に対する態度)の変化を追跡する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.対象が自ら身体像を客観的に分析できる「自己分析ワークシート」作成に必要な資料の収集(国内旅費:100,000円)、2.研究参加者への謝礼(謝金等:120,000円)3.データ入力や基本的なデータ処理のためのアルバイト賃金(謝金等:100,000円)、4.データ分析のためのパソコン(設備備品費:250,000円)、5.データ分析に要するパソコンソフト(消耗品費:100,000円)、6.画像出力用のカラープリンター(消耗品:80,000円)、7.パソコン関連記憶媒体等(消耗品:30,000円)、総計 780,000円
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