2012 Fiscal Year Research-status Report
摂食障害予防を目ざした身体像修復のための教育的アプローチ
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23650376
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Research Institution | Tokyo International University |
Principal Investigator |
三宅 紀子 東京国際大学, 人間社会学部, 教授 (60137023)
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Keywords | 身体像 / 測定法 / 描画分析 / 摂食態度 / 身体満足度 |
Research Abstract |
今までの一連の研究において身体像を測定する方法として、身体描画法を考案、検討してきた。この方法は個人の身体像を測るために自己の身体を絵に描いてもらい、それを実際の写真と比較することでその人の身体像を評価するものである。そこにおいては、描画の安定性、再現性が問題となる。そこで今年度は2週間の間隔を空けて、同一の被検者に同一の手続きにより身体描画法を2回実施したデータをもとに、得られた2組の描画の相違を比較、分析した。比較検討した項目は身体像の歪み量、描画サイズ、描画の身体部位のサイズ、用紙上の描画位置、描線の特徴、描画の形態上の特徴の41項目であった。その結果全41項目中、38項目においては有意な差が認められず、なおかつ相関係数が中程度から高い相関を示したことより、身体描画法による描画の再検査信頼性が確認され、描画の安定性、再現性は保証されることとなった。 また身体像修復を目的とする介入を行う際に、対象が身体像を量的分析および質的分析の両面から分析できるように分析の観点を示した自己分析ワークシートを先行研究の研究結果に基づいて作成した。さらにパイロットスタディとして、身体描画法による身体像の測定ならびに自己分析ワークシートを用いた介入の一連の手続き前後での身体に関する諸指標(身体満足度、身体関心度、体型認識度、身体に対する感情、身体に対する態度、理想の身長や体重)の変化を比較、分析した。その結果、身体描画法と身体像自己分析ワークシートを用いた介入(面接)を行うことにより、実施前と実施後の身体諸指標6項目のうち4項目に有意差が認められた。これらは4項目のすべてにおいて肯定的な変化と考えられた。これより身体描画法と身体像自己分析ワークシートを用いた介入は対象が自身の体型に対する否定的な思い込みに気づき、体型を客観的に自己評価するために有効である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究計画では、対象が身体像を量的分析および質的分析の両面から分析できるように分析の観点を示した身体像自己分析ワークシートを作成することが最も中心的な課題であったが、先行研究や筆者の今までの研究の知見から身体像自己分析ワークシートを作成することができた。 さらに平成25年度の研究課題である身体像修復のための教育的アプローチの効果を測定するための介入実験のパイロットスタディとして、介入前後における身体諸指標(身体満足度、身体関心度、体型認識度、身体に対する感情、身体に対する態度、理想の身長や体重)の変化を検討し、介入が有効である可能性を見出すことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は本研究課題遂行の最終年度に当たるので、その最終目的である身体描画法ならびに身体像自己分析ワークシートを用いた介入の摂食態度や身体に関する諸指標に与える影響を分析、検討し、介入の有効性を検証する。これにより、対象が自己の身体像を客観的に自己評価できることが可能となり、摂食障害の予防に貢献できるのではないかと期待される。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
科学研究費以外の研究費により研究を遂行したこともあったため、平成24年度は予算に残額が出ることとなった。 平成25年度の研究費の使用計画は、1.実験協力者への謝金(120,000円)、2.データ入力の謝金(160,000円)、3.書籍およびPC関連用品(132,062円)4.データ収集のための旅費(200,000円)5.成果発表のための旅費(200,000円)6.英文校閲(20,000円)7.報告書、マニュアルの印刷(300,000円)である。
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