2011 Fiscal Year Research-status Report
スポーツを核とした文化的アプローチによる感性理論の体系化の試み
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23650378
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
志岐 幸子 関西大学, 人間健康学部, 准教授 (80554518)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 感性 / スポーツ / ゾーン / ベストパフォーマンス / 文化 / 感性理論 / 感性を磨く / インタビュー調査 |
Research Abstract |
平成23年度の研究においては、研究代表者(志岐幸子)が1997年から収集している「感性」に関するデータに加え、関西大学における文献調査、さらにはスポーツを中心とした各分野のトップレベルで活躍する人々数名に、研究協力の同意を得た上でインタビュー調査を実施した。その成果は、それまでの成果と合わせて、「『感性』の観点からのゾーン体験の仕組みと意義に関する一見解」として、アメリカのスタンフォード大学における「2012 AAAI(Association for the Advancement of Artificial Intelligence ) Spring Symposium Series」での招待講演、同学会の学術誌である「AAAI Technical Report SS-12-05 Self-Tracking and Collective Intelligence for Personal Wellness」への掲載等、公表を行った。その内容は、63名のトップアスリートの「ゾーン体験」の特性や内容の詳細を紹介し、「ゾーン体験」の起きる仕組みを「感性」の観点で説明を行い、さらには、「ゾーン体験」の意義について、鈴木大拙やユングの説、脳科学的視点を引用しながら考察したものである。現地では海外で活躍する脳科学者たちやスタンフォード大学の学生との有意義な討論を行い、今後の共同研究の可能性についても話し合った。 一方、スポーツ以外の文化における「感性」については、主に文献調査により「感性」が最も研ぎ澄まされていると思われる状況について考察し、その成果は、「文化的アプローチによる『深い感性』に関する一見解-ゾーン体験の観点から‐」として「人間健康学研究」に掲載された。23年度は、主に「ゾーン体験」について調査・検討を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
社会へのフィードバックの点では、23年度に海外における講演や論文掲載を行い、かなり順調といえる。しかしながら、スポーツ以外の文化人のインタビューの依頼・交渉に時間がかかっているため、データ収集の点で計画より遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
前年の研究を基盤に、23 年度にインタビューしきれなかった調査対象者への調査を中心に実施しながら、スポーツ以外の分野の事例収集に力点を置く。具体的には、研究代表者(志岐幸子)が博士論文(エリートジュニアサッカー選手の心理特性―アスリートの感性研究へのアプローチ―)や著書(岡田武史監督と考えた「スポーツと感性」)において試みた感性の定義や感性に纏わる理論をベースに、「感性」に強い関心を持ち、「優れた感性」を発揮していると考えられる、種々の分野で活躍する一流の文化人へのインタビュー調査を中心とした事例研究を継続する。 また、それまでの調査結果の整理と並行して、「感性」の理論化・体系化の段階において必須となる、スポーツ、脳科学、心理学、哲学、東洋思想等の観点において各分野の文献調査、各種メディアの調査を進める一方、学会等での発表に伴う討論からも理論構築を行っていく。 以上の研究から、「感性」を言語や図の形で理論化し、「感性」の学術的定義について提示する。また、これまで系統だっていなかったいわゆる「感性を磨く方策」について具体的事例を挙げつつ、論理的な説明ができる形にする計画である。 なお、研究の成果は、各学会誌や、早稲田大学感性領域総合研究所が発行する論文や専門書の形式で社会に発信する予定である。さらに、「感性を磨き豊かにする方策」を体系化したい。24年6月には、「感性を磨く方策」に関わる「ゾーンに入る条件」について検討した一般書を出版することになっている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度の残金は、24年3月に行ったアメリカ出張の旅費等に使用し、24年度の研究費は、23年度同様、インタビュー調査の謝礼、テープ起こし代金、調査や学会発表に関わる旅費・宿泊費等に、主に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)