2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23650381
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
浅井 武 筑波大学, 体育系, 教授 (00167868)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 関也 筑波大学, 体育系, 准教授 (50272670)
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Keywords | ボール / 空気 / 空力 / 流体 / 渦 / 可視化 / ナックル / 追尾 |
Research Abstract |
実際に飛翔しているサッカーボール周りの渦流れを追尾,可視化,検討するため,発煙物質をボールに薄く塗布してキックさせ,高速ビデオカメラで撮影した. 平滑球後流の渦構造について,Re=24000では,交番型の渦構造がみられ,後流は波長が直径の約4.5倍の進行波運動をしていることが報告されている.また,Re=600000では,後流が互いに逆方向に回転する2本の縦渦を形成し,遠い下流まで構造を変えないこと,後流が球の対称軸から外れて存在すること等が示されている.Re=380000におけるサッカーボールの場合,超臨界領域であるにも関わらず,平滑球のような直線的な安定した後流構造ではなく,平滑球の亜臨界領域と超臨界領域の中間的かつ不安定な構造を示していると思われた.ナックルボールの飛翔軌跡より,やや離れた大きな画角での大規模渦構造をみると,後流の歪んだ渦リング放出とは異なる,約1~4Hzの大規模な渦構造の振動(うねり)が観察された.これは,平滑球のストローハル数におけるハイモード,及びローモードとは異なる,より低い周波数であると推定され,この大規模構造の渦振動がナックルボールの不規則な変化を引き起こす,大きな原因の一つになっていると考えられた.実際に飛翔しているサッカーボールの後流構造(Re=370000)をみると,進行方向軸に対して偏向し,歪んだループ渦(歪んだヘアピン渦)が放出されている場合が多くみられる.しかし,その偏向方向は,一定方向ではなく,上下が逆転したような構造(Re=380000)になることも観察される.これらのことから,ボール後流の渦構造は不安定であり,進行方向軸周りに回転する大規模構造変化もあると考えられる.そして,この大規模構造の渦振動は,出発渦の形成,変形,崩壊によって励起されている可能性がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実際に飛翔するボールの追尾撮影の技術的めどは立った.PIVによる可視化技術もパイロットケースでは成功している.ただ,流れベクトルの取得は,画像の解像度や画質に大きく影響をうけるため,その点の改良や工夫が今後の大きな課題の一つである.
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Strategy for Future Research Activity |
トレーサーの濃度や分布と画像やベクトルの取得の関係を探り,より高い画質でのPIVを試みる予定である.また,ベクトル計算のアルゴリズムも比較検討し,より,適切な方法を探求していく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.トレーサー追尾画像処理技術の開発(浅井,小池) ハイコントラストなトレーサー作成技術の開発,本実験.トレーサーと移動体のマッチング技術の開発,本実験.移動体の座標変換を行うための抽出,画像処理技術の開発,本実験.トレーサーベクトルを抽出するトレーサー追跡技術の開発,本実験.トレーサー発生装置は,平成24年度の他の研究費で補充したので,その分を平成25年度に繰越金として繰越し,実験治具やトリッガーの開発に充当する予定である. 2.可視化技術の開発(浅井,小池) トレーサーベクトルから圧力分布や渦度を計算する技術の開発実施.可視化ソフトウェアの開発,導入. 3.国内外の関連学会に研究成果を発表する.
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Research Products
(2 results)