2012 Fiscal Year Annual Research Report
仮想(バーチャル)技術応用の新カヤックエルゴメーター開発
Project/Area Number |
23650385
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
西保 岳 筑波大学, 体育系, 教授 (90237751)
|
Keywords | 上肢運動 / 下肢運動 / カヌー |
Research Abstract |
カヤック運動は、両手で一本のパドルを動かし、一見、上肢のみの単純運動のようであるが、背筋、下肢筋も協調的に活動させる複雑な運動である。競技選手は陸上トレーニングとして、市販のカヤックエルゴメーター(オランダ製)を用いているが、この機器では運動負荷を正確に制御・測定できない。本研究では、この問題をクリアするとともに、運動者が発揮する力やパワー、身体のバランスを入力刺激として制御できる、新しいカヤックエルゴメーターを製作することを目的とした。 本年度は、エルゴメーターの負荷制御の中心部分である、電磁ブレーキを用いた制御機構の制作と負荷制御プログラムを製作した。さらに、既存の風力負荷エルゴとの比較、漕ぎ手への感想調査や、パワー出力の妥当性の検討を行った。電磁ブレーキとして、三菱電機のヒステリシスブレーキを用いた。理由は、正逆転時のブレーキのアンバランスがなく、回転数依存でのトルク変化も少ないため、制御がしやすいことである。次に、このブレーキ制御を実際のカヌーパドリング時の漕ぎ手の感覚に近づけるために、パドルの引き始めのスピードをエンコーダーにより検出し、漕ぎ始めはトルクを小さくし、スピードとともに増加させるような負荷制御プログラムを制作した。パドルスピードに関係なく一定トルク負荷制御の場合とで、比較した場合、漕ぎ手にとっては、上記の負荷変化タイプの制御の方がスムーズに動作をおこなえる、という感想であった。既存の風力負荷エルゴ(オランダ ダンスプリント社製)との漕ぎ手の動作感覚に大きな違いは見られなかった。したがって、今回の研究によって、市販の機材と同程度の漕ぎ感覚でありさらに、負荷制御幅が大きくさらに負荷制御分解能が高く、かつ、負荷制御方法を簡単に汎用言語(Visual Basic)にて開発・変更できる、新しいカヌーエルゴが制作可能であることが判明した。
|