2011 Fiscal Year Research-status Report
諸外国との比較による日本のエリートスポーツ政策の評価に関する研究
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23650397
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
間野 義之 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (90350438)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | エリートスポーツ政策 / エリートスポーツ環境 / エリートアスリート |
Research Abstract |
本研究は,諸外国と比較した日本のエリートスポーツ政策の評価をすることを主たる目的とし,エリートスポーツ政策の国際比較研究コンソーシアム‘SPLISS (Sports Policy Factors Leading to International Sporting Success)’に参画しながら研究を推進している.本年度は,SPLISS研究のフレームワークを用いて,日本のエリートスポーツ政策の強み・弱みを定量的に検証することを目的とし研究を進めた.わが国におけるエリートスポーツ政策の評価研究は記述分析に限られている.したがって,エリートスポーツ政策の消費者的観点によって,その最も重要なステークホルダーであるエリートアスリートがエリートスポーツ政策を評価することは意義深い.その際,エリートスポーツ政策がつくり出す競技環境をエリートスポーツ環境と定義づけることで,より実態が把握できる.分析には質的データを量化できるスコアリングメソッドという方法を用いた.エリートアスリートのエリートスポーツ環境における評価によると,日本のエリートスポーツシステムの成功要因は「タレント発掘・育成システム」,「競技サポート」,「トレーニング施設」,および「コーチの供給・養成」であることが明らかとなった.これらの要因が日本の国際競技力における競争優位の源泉となっている可能性が高いことが示唆された.また,「ポストキャリアサポート」のエリートスポーツ環境は十分に整備されていないことも明らかとなった.これらの結果は,記述分析やエリートコーチまたは競技団体の強化責任者等のデータと総合的に組み合わせることにより国際競技力向上施策を立案する際の重要な資料となり得る.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各競技団体との調査日程の調整に多くの時間を要したものの,エリートアスリートの視点による競技力向上政策の強み・弱みを明らかとした.ただし,エリートコーチの視点や研究者の客観的視点までの考察には至っていない.なお,論文の投稿に際する競技団体との調整ができ次第,成果を投稿する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
エリートアスリートの評価だけではなく,エリートコーチや競技団体の強化責任者の評価を組み合わせた総合評価を実施する.また,得られた結果より,エリートスポーツ政策全体ではなく,強化施策(タレント発掘・育成など)に焦点を当てた研究を実施する.SPLISSコンソーシアムとともに国際比較研究のフェーズに移る.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
コンソーシアムの会議参加,および海外学会発表のための航空券,滞在費.資料収集,国際会議帯同,調査帯同等,研究を補助する者への謝金等に用いる.
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Research Products
(2 results)