2011 Fiscal Year Research-status Report
地域スポーツボランティアのマネジメントシステム構築に向けた基礎研究
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23650398
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
作野 誠一 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 准教授 (60336964)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | スポーツボランティア / マネジメントシステム / オーストラリア |
Research Abstract |
本研究の目的は、海外ボランティア先進国(オーストラリア)における日常的・継続的ボランティア事例の分析及びわが国との比較分析を通じて、今後の地域スポーツ領域におけるボランティアマネジメントのあり方について具体的かつ効果的な提言を行うことであった。平成23年度は、総合型クラブの人材及びスポーツボランティア、人事労務管理、人材マネジメント論、人的資源管理論等の文献レビューを中心に行い、研究全体の枠組みを整理した。具体的には、これまでの総合型クラブの人材に関する研究(専門職及びボランティア)及びスポーツボランティア研究の体系的な把握・整理を行った。とくにスポーツボランティアについては、「生涯学習審議会答申」(1994)、「スポーツにおけるボランティア活動の実態等に関する調査研究報告書」(文部省,2000)、さらには「スポーツ立国戦略」(文部科学省,2009)といった行政文書により制度的な動向もふまえつつ、これまでに報告されている個別研究を体系的に整理し、現在の到達点と課題の抽出に努めた。本研究で取り上げるオーストラリアをはじめとする海外文献(とくに日常的・継続的ボランティアについて)も渉猟し、研究全体の理論的背景について整理している。また、人事労務管理、人材マネジメント論、人的資源管理論に関わる文献研究を行い、これを体系的に整理している。本研究代表者は、平成23年度9月より1年間の予定で、本務校の制度を利用してオーストラリアに滞在し研究を行っている。この間、オーストラリアの2都市(メルボルン・ブリスベン)を訪れ、国際学会への参加などを通じて関連情報を収集するとともに、事例の探索を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度は文献研究を中心としてテーマに関わる研究の現時点での到達点を詳細に検討するとともに、制度的な動向の把握、欧米の関連文献の渉猟など、研究の精緻なフレーム構築に欠くことのできない作業を中心に研究に従事したが、これらの課業が事前の予測を大幅に上回り、時間を要することとなった。その理由としては、事前に立案されたサブテーマが思いのほか多くなってしまったこと、関連文献(とくに欧文献)の入手と読解に予想以上に時間がかかったこと、本研究にとって有意義かつ有効な文献の検索に時間を要したことなどがあげられる。また在外研究に伴う研究環境の変化とそれへの適応に時間をとられたこともひとつの要因である。以上より、全体的な研究の進捗は当初の予想よりわずかながら遅れているといわざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、オーストラリアにおいて複数の地域スポーツクラブ事例の調査を行い、地域スポーツにおけるボランティアのマネジメントモデルを構築・提示するとともに、次年度予定している調査のデザインを行う予定である。そのため、前年度の成果に基づきながら、平成24年度前半も日常的・継続的スポーツボランティアのマネジメントシステムに関わるモデル構築を継続して実施する。こうして蒐集された質的データを、「調達」・「開発」・「維持」という人材マネジメントの基本フレームに落とし込んでいく作業を続けるなかで、各段階におけるマネジメントの特徴・条件等について分析・考察する。そして、この作業を通じて生成される「仮説モデル」をいわゆる参照点とし、これまで先行文献等によって報告されている「日本型現行モデル」との体系的な比較を行いたい。なお、この段階での比較分析は、帰国後に予定している調査の基本フレームづくりとして位置づけられる。さらに後半は、最終年度に実施される質問紙調査の項目作成を行う。調査の基本方針としては、ボランティアをめぐる「日本型現行モデル」の浸透状況を明らかにするとともに、現在の人材をめぐる問題点、とくにボランティアマネジメントの問題点を量的データによって明らかにすることをめざす。また、今年度前半までに実施された海外事例研究から導かれる日常的・継続的ボランティアのマネジメントシステムの「仮説モデル」に対する評価項目を加え、わが国における新たなボランティアマネジメントシステム導入にあたっての阻害要因及び限界、そしてそれらに対する対応策についても明らかすることをめざす。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度に引き続き、平成24年度も日常的・継続的スポーツボランティアのマネジメントシステムに関わる「仮説モデル」を構築・提示するため、この作業に必要とされる文献の購入及び文献複写費、ならびに関連文具が必要となる。また、モデル構築に関わる現地専門家との意見交換ならびに情報収集のために、オーストラリア・シドニーで11月に開催される国際学会(SMAANZ:Sport Management Association of Australia and New Zealand)に参加する予定であり、そのための出張費用(参加費、旅費及び宿泊費)を要する。
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