2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23650399
|
Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
柿山 哲治 中京大学, スポーツ科学部, 教授 (10255242)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | マリアナ・ヤング / 岡島マサ / 田添テル / 新式体操 / 古写真 / アメリカ / オハイオ州 |
Research Abstract |
明治31(1888)年に活水女學校第2代目校長として就任したアメリカ人宣教師マリアナ・ヤング女史が導入した新式体操について、活水学院資料室在庫資料目録より、明治期の所蔵物を検索し、特に第2代目校長ヤング女史時代として分類されている古写真、同窓会誌、明治期から大正期にかけて活水女學校に在籍した生徒の回顧録や講演記録、新聞記事などを抽出して分析した。また、同窓生の在学期間や卒業年次については、活水同窓会事務局所有の同窓生データベースによって抽出した。ヤング女史が導入した新式体操は、木綿のユニフオームを着用し、音楽に合わせて輪や棒や唖鈴を用い、号令はすべて英語でなされていたことが、卒業生の証言によって明らかになった。また、明治期に撮影された古写真中の日本人女性体操指導者が岡島マサであることが特定された。岡島マサは明治34(1901)年6月に活水女學校高等科を卒業し、同年9月から英語、英文学音楽の担当教員として活水女學校に採用され、明治35(1902)年には体操の指導を兼務していた。岡島マサは音楽の才能に優れ、英語の能力も高かったことから、ヤング女史の代役として新式体操を指導するには、打ってつけの逸材であったに違いない。さらに、明治期の日本人女性が体操を指導をしている様子を写した写真は希少価値が高く、その誕生にアメリカ人宣教師が深く関与し、長崎の地方都市で要請されていたという新しい史実が明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
活水学院資料室所蔵の史料および関西学院・学院史編纂室の史料により、活水女學校第2代目校長に養成された日本人女性体操指導者が、活水女學校の卒業生で卒業と同時に5年間活水女學校に英語、英文学、音楽の教員として奉職した岡島マサであることが特定された。したがって、本研究の目的の6割程度は達成することができた。残りの4割を明らかにするためには、ヤング女史が導入した新式体操の具体的内容(音楽、号令、用具、動き)、西洋式体操服の由来について、ヤング女史の母校であるアメリカ合衆国オハイオ州オハイオウェスレアン大学等を訪問し、調査する必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
マリアナ・ヤング女史はアメリカ人宣教師でありながら、髪型はイギリス巻、運動会の英語表記はPlay Day(アメリカ式)でなField Day(イギリス式)である。また、新式体操の動きを明らかにすることにより、その体操の由来が明確にできるはずである。したがって、ヤング女史の母校であるアメリカ合衆国オハイオ州オハイオウェスレアン大学などを訪問し、その原点を探索する必要がある。 また、メソジスト教会のアメリカ人宣教師に関する資料が青山学院に所蔵されている可能性が考えられるので、ヤング女史に関する史料も発掘できることが考えられる。 さらに、ヤング女史に養成された岡島マサの履歴書は、活水女學校退職後に就任した関西学院で発掘されたため、岡島マサに関する史料も関西学院に所蔵されている可能性が考えられる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
活水学院百年史に記載されたマリアナ・ヤング女史が導入した新しい体育とは、西洋式体操服、新式体操、音楽体操慈善演習会、第1回秋季運動会、遠足などを指し示すと思われるが、歴史的意義づけが十分になされていない。したがって、未だ史料の解読ができていない、活水学院資料室所蔵の教授会議事録等により、史実関係を明らかにし、明治期の女子教育にいち早く体育を導入した意義を明らかにしたい。
|