2012 Fiscal Year Annual Research Report
筋代謝産物を生体内で観察するバイオイメージング技術
Project/Area Number |
23650403
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
狩野 豊 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (90293133)
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Keywords | バイオイメージング / 骨格筋 / 筋収縮 |
Research Abstract |
筋細胞内pH (pHi) の恒常性は,筋機能の維持に重要な因子となる.これまで運動時におけるpHiの影響や動態を検討した研究は数多く存在するが,それらは単離筋などの生体外 (in vitro) 環境下での研究手法を用いたものがほとんどであった.本研究では,生体内におけるpH制御機構を明らかにすることを目的として,in vivo環境下における動物モデルを考案し,筋線維への高低pH溶液のインジェクションによるpHi動態の観察 (課題1),および連続的な等尺性 (ISO) 収縮負荷による発揮張力とpHiの関連性 (課題2) について検討した.本研究では,Wistar系雄性ラットを対象とし,麻酔下で外科的に露出した脊柱僧帽筋にpH感受性蛍光指示薬であるBCECF-AMを負荷した.課題1では,pH 6.5溶液もしくはpH12.0溶液を35 psi にて1-3秒間筋線維に直接注入し,その動態を評価した.課題2では,電気刺激による連続的な筋収縮を10 セット (50回/set) 負荷し,緩衝液 (Cont) およびH+交換やH+輸送に関連する機能阻害 (NHE,MCT) の条件下でpH i動態を比較した.課題1において,in vivo環境下で単一筋線維レベルのpHi動態を観察することに成功し,低pH溶液に対する動態を明らかにした.その結果,60秒間までに急速なpH回復が見られることが示された.課題2では,ISO収縮負荷中の張力とpHiの関連性について評価し,50%程度までの張力低下がpHiに依存しない一方で,50-60%までの張力低下とpHiには直線的な関連性を認めた.また,本研究のH+交換 (NHE) やH+輸送 (MCT) を阻害した環境下では,筋収縮時のpHi低下が抑制される傾向が示された.以上のように,筋線維毎にpHiを評価する生体内モデルを確立すること成功した.
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