2012 Fiscal Year Annual Research Report
筋収縮特異的に亢進する基質流入を調節しているトランスポーターの役割
Project/Area Number |
23650404
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
増田 和実 金沢大学, 人間科学系, 教授 (50323283)
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Keywords | トランスポーター / カルニチン / 骨格筋 / 脂肪酸 / 代謝 |
Research Abstract |
骨格筋の脂肪酸代謝は様々な要因によって制御されている。カルニチンは脂肪酸代謝に必須の基質であり、脂肪酸をミトコンドリアマトリックス内へ移動させると理解されている。ただし、骨格筋はカルニチンを合成することができないため、必要とされるカルニチンを細胞外から輸送しなければならない。骨格筋のカルニチン輸送についてはほとんど解明されておらず、その機序には不明な点が多い。そこで本研究ではカルニチン輸送に関わるとされているトランスポーター(OCTN2)に注目して、OCTN2の筋細胞内における発現分布や筋収縮刺激による骨格筋細胞内へのカルニチン取り込みの変化を検証した。 前年度までに筋収縮によってOCTN2の細胞内局在が細胞膜画分に増加することを確認してきた。この現象は、筋収縮によってOCTN2の細胞内移動とそれに伴うカルニチンの細胞内流入を機能的に促進している可能性が示唆された。骨格筋におけるカルニチン輸送調節機序の検討のため、hOCTN2を挿入したpEYFP-c1発現ベクターを骨格筋培養細胞株(L6)に導入した。組織学的に観察したところ、骨格筋組織と同様、OCTN2は細胞膜に局在するだけでなく、核以外の細胞内部に検出された。続いて筋収縮によって活性化されるシグナル経路の活性剤を用いて、一過性(acute)でのカルニチン輸送変化を検討した。しかしながら、エネルギー代謝センサーやヌクレオチド受容体刺激による輸送調節は確認されなかった。また、OCTN2の発現に関わる因子を検証したところ、カルシウムシグナルではなく、むしろAMPKシグナルに調節されている可能性が示唆されたが、前述の輸送調節機構とともに今後慎重に検討していく必要がある。
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Research Products
(5 results)