2011 Fiscal Year Research-status Report
筋収縮時の筋内中間代謝産物・イオン動態の非侵襲的連続測定
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23650408
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
木村 みさか 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (90150573)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | 部位別多周波インピーダンス(S-BIS)法 / 筋細胞内水分の連続測定 |
Research Abstract |
ヒト骨格筋内の代謝動態の計測方法としては、これまで、筋生検による侵襲的な方法か、31P-MRS(核磁気共鳴分光法)などの大型装置が用いられてきた。一方、生体中の骨格筋組織は大量の水を含み、これが細胞内外に分布している。筋収縮による筋内中間代謝産物およびイオンの動態変化は、細胞内浸透圧を変化させ、細胞外液からのH2Oの流入量を増加させ細胞内液量を増加させる。さらに筋細胞内のグリコーゲン分解の亢進は、グリコーゲン結合水(bond water)を放出する。これらの筋細胞内の水分変化を簡便かつ高速に捉えることができれば、筋内代謝動態を推定できる。近年、筋細胞膜の電気的な性質を利用した部位別多周波生体電気インピーダンス分光(S-BIS)法を用いて、細胞内液・外液量を定量する方法が提案され、我々はこの方法を用い、下肢筋において、骨格筋湿重量から細胞外液量を除いた「骨格筋細胞量」を非侵襲的に定量化することに成功した(Yamada et al. 2010 J Gerontol Med Sci)。この方法は小型装置での計測か可能で、持ち運びができ簡便性に優れるが、運動中や直後のダイナミックな筋細胞内代謝動態の計測に着目した研究はほとんどない。 本研究では、筋内の代謝動態が変化する際の浸透圧変化やグリコーゲン分解による結合水(bond water)の放出などの筋細胞内の水の動態に着目し、筋細胞膜のコンデンサーとしての電気的な性質を利用し、筋細胞内水分量を非侵襲的、簡便かつ高速に計測する方法を新たに確立し、さらにその応用可能性を明らかにすることを目的とした。その内容は、「筋収縮時の筋内中間代謝産物・イオン動態を非侵襲的に連続して計測する」ための、(1)方法論の確立、および(2)簡便で高速に測定できる装置の開発である。今年度、(1)についてはほぼ計画を終了できたが、(2)は平成24年度の課題とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初、本研究は、1年間の間に「筋収縮時の筋内中間代謝産物・イオン動態を非侵襲的に連続して計測する」について、(1)方法論の確立、および(2)簡便で高速に測定できる装置を開発する予定であった。(1)については、ほぼ実験計画が終了したが、(2)については、これまで我々と一緒に開発を進めていたP社の業績悪化等で担当者が会社を辞められ、予定通りに進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、「筋収縮時の筋内中間代謝産物・イオン動態を非侵襲的に連続して計測する」ために、(1)方法論の確立、および(2)簡便で高速に測定できる装置の開発を行う。(1)については、ほぼ計画通りに進み、データ収集を行うことができた。今後は条件を変えた実験を計画し、さらなる理論構築を図る。(2)の「筋細胞内水分の連続測定を、非侵襲的、高速に測定できる装置の開発」については、現在、他の業者を中に入れて進めている。理論は確立できているので、見通しは立っている。論文作成も順次進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
基礎データを補完するための実験参加者への謝金(30万)および国内、国際学会での成果発表のための旅費(50万)が主な経費である。
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