2011 Fiscal Year Research-status Report
サテライトセルの活性化に対するエキセントリック運動の効果
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23650434
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
宮田 浩文 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90190793)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | エキセントリック収縮 / 抗重力筋 / サテライトセル |
Research Abstract |
ヒトの骨格筋において、エキセントリック運動後のサテライトセルの動態を、組織学的・分子生物学的に直接明らかにすることを目的として実験を企画・実施した。まず、効率よくエキセントリック運動とコンセントリック運動を行わせるために、踏み台昇降運動の方法に関して、筋電図記録と動作解析を併用し予備実験を行った。その結果、40cmの踏み台を利用し、1歩1.5秒ペースで、右脚から前方に踏みあがり、右脚から後方に降りる運動を繰り返すことにより、右外側広筋にコンセントリック運動を、左側外側広筋にエキセントリック運動を効率よく発生させることができることを明らかにした。次に、1回の筋バイオプシーサンプルを用いて、組織学的分析とリアルタイムRT-PCRによるmRNA発現量の定量を行う方法に関して予備実験をおこなった。その結果、10mg程度のサンプルを採取すれば可能であることが分かった。そこで、1回のバイオプシーで15mgの筋サンプルを得る方法を工夫・改良した。さらに、当初次年度以降に予定していたリアルタイムRT-PCRによる分析の検討を行い、転写促進因子、抑制因子およびサテライトセルマーカーの測定方法を一部確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目は実験方法の確立を主に計画していたが、1)エキセントリック収縮の程度を定量するための筋電図記録および画像解析、2)筋バイオプシーサンプルを用いた筋線維動員様式およびサテライトセル数を調べるための免疫組織化学的分析、が予定通り進行し、1回目の本実験を年度末に行うことができた。また、次年度以降に予定していた各種mRNAの発現量を定量する予備実験も進めることができ、本実験のサンプルを現在分析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、ラット骨格筋において同様な実験を繰り返しており、サテライトセルの転写促進因子HGF、抑制因子Myostatin、サテライトセルマーカーPax7、筋炎症マーカーIL6について、すでに購入済みのシステムで分析可能となっている。さらに動物実験の結果を精査し、有力なサテライトセルの活性化因子を追加し、リアルタイムRT-PCRの分析を進める。最終的には被験者数を10名以上にしたいので、夏と秋に一連の実験を行う。得られたサンプルに関して、組織学的分析およびリアルタイムRT-PCRの分析を進める予定である。冬にはこれまでのデータをまとめて、学会発表および論文作成を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1年目の春休み中に行う予定だった実験(被験者8人)が実施できなかったために、その費用がたくさん残った。今年の夏休みおよび秋に8名以上の被験者について実験を行う予定である。また、骨格筋に対する分析項目をさらに厳選するために動物実験およびリアルタイムRT-PCRの分析を行うが、研究費の大半はこの実験および分析の謝金および消耗品である。また、ニードルバイオプシーを合計50回(8人x左右x3回)程度予定しているが、バイオプシー針は使い捨てであるため、合計20万円程度の予算が必要である。冬には学会発表および論文作成を予定しており、出張旅費(7万円)および英文校正費(3万円)が必要となる。
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