2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23650440
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
米山 喜一 鶴見大学, 歯学部, 助教 (50230842)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 歯科補綴 / 全部床義歯 / 脳波 / 脳機能 |
Research Abstract |
義歯機能は健康,長寿,QOLに直結しており,義歯機能を向上することにより,認知症や寝たきりを予防することが可能であると考えられている。本研究は,義歯機能と脳機能の関係を明らかにすること,すなわち義歯治療により変化する因子と脳機能の活性度との相関を分析することにより,義歯機能が健康や福祉に大きく関わる科学的根拠を示すことである。 平成23年度は,鶴見大学歯学部附属病院補綴科を受診したメインテナンス中の全部床義歯装着者を被験者とし,咬合高径の違いが脳機能に及ぼす影響を解明する計画を立案した。既に,補綴専門医により義歯の経過良好と判断された上下顎全部床義歯装着者6名を被験者として測定を行った。被験者に対し,適切な咬合高径を設定した義歯,5mm挙上した義歯および3mm咬合高径を低下した義歯の3種類の義歯を準備し,これらを順に装着し,ガム咀嚼を行なわせた。ガム咀嚼後直ちに脳波計(ESA-pro,脳機能研究所,川崎 )を用いて3分間の脳波の計測を行い,脳機能の解析(DIMENSION解析)を行った。 現在のところ,適切な咬合高径を設定した義歯が,最も脳機能の活性度が高い値を示し,続いて,5mm挙上した義歯,そして3mm低下した義歯装着時の脳機能が最も低い値を示しているが,現在のところ統計学的有意差は認められていない。今後,被験者を増やし,咬合高径の違いによる脳の活性化部位の相違を明らかにすることにより,国民に対して義歯治療の重要性を啓蒙することが可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,脳波測定を行うことにより,脳機能の活性度の分析(DIMENSION解析)および脳の活性化部位のNAT解析(脳の活性化部位の分析)を行い,義歯補綴治療によるリハビリテーション効果を解明することを目的としている。平成23年度は,6名の被験者に対して,適切な咬合高径を設定した義歯,5mm挙上した義歯および3mm咬合高径を低下した義歯の3種類の義歯を準備し,これらを順に装着し,ガム咀嚼を行なわせた。ガム咀嚼後直ちに脳波計(ESA-pro,脳機能研究所,川崎 )を用いて3分間の脳波の計測を行い,脳機能の解析(DIMENSION解析)を行った。その結果,咬合高径が適切な使用中の義歯が,最も高い脳機能の活性度を示し,続いて,5mm挙上した義歯,そして3mm低下した義歯装着時の脳機能が最も低い脳機能の活性度を示しているが,現在のところ統計学的有意差は認められていない。今後さらに被験者を増やし,計測を進めると共に,分析を進め,NAT解析を用いて,脳の活性化部位の分析を行う予定である。今後さらに分析を進め、NAT解析を用いて、脳の活性化部位の分析を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の研究にて、初めてNAT解析を歯科分野に応用し、全部床義歯の義歯機能の向上による脳機能の活性化部位を評価可能であることを明らかにした。しかし、上下顎無歯顎患者の評価として最適な脳波の周波数、解析時間、解析部位などの分析方法を精査する必要がある。次年度の研究では、まず、義歯の咬合高径の違いによるガム咀嚼前後の脳機能の活性度と脳神経ニューロンの活性部位を比較することで、全部床義歯の咬合高径がどの様に脳機能に影響を及ぼし、それが全身機能にどの様な影響を及ぼすか検討する。次にガム咀嚼前後の脳機能の活性度及び、シナプスニューロン機能の活性化部位を比較することで、脳機能に影響を及ぼすか検討する。さらに、測定した全ての被験者を「脳機能が活性化した被験者」と「脳機能の活性化が認められなかった被験者」に分けて、最大咬合力の変化、咬合接触面積の違いなどの因子ごとに分析することにより、どのような因子が脳機能に影響を及ぼすか明らかにする。また、因子ごとに脳神経ニューロン機能の回復部位を分析することで、脳機能の活性化のメカニズムを解析し、義歯補綴治療によるリハビリテーション効果を解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は、1,950,000円の交付決定を受け、実支出額は1,652,162円であった。未使用額は、297,838円であった。平成23年度科学研究費補助金交付申請時の研究経費との主な相違は、「旅費」が減少した点、「人件費」が減少した点である。それは、東日本大震災の影響により、Acceptされていた発表をキャンセルせざるおえなかった点、ならびに翻訳料の経費を節約した点である。また、共同演者として発表を行った14thICP(アメリカ)においては、海外出張を行わなかった点である。従って。その差額として297,838円の未使用額が生じた。24年度は、ブラジルにて開催される、IADR(International Association for Dental Research)学術大会およびフィンランドで開催されるPER/IADRにて成果発表を行う予定である。さらに、助成事業の最終年度として、翻訳・校正料を計上する予定である。
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