2011 Fiscal Year Research-status Report
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23650444
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
松岡 英子 信州大学, 教育学部, 教授 (20126709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 樂 信州大学, 教育学部, 教授 (50135117)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 介護職員 / ストレス / コーピング / 負担感 |
Research Abstract |
高齢者を施設で介護している介護職員の介護ストレスや負担感などの職場ストレスについて、その影響要因とコーピングの様態をストレス理論を適用して解明し、介護職員のエンパワーメント支援に関するメカニズムを析出することを目的にしている。 初年度である本年度は、介護職員の介護ストレスや負担感に関する内外の研究成果をレビューし、介護職員の介護ストレスや職場ストレスの影響要因を探ると共に、コーピングの類型やコーピングの効果を検討した。ストレス理論で重要な概念である「コーピング」に関しては、概念の混乱と把握方法の難しさのために実証研究は遅れているが、介護職員のコーピングスタイルは問題解決型、認知変容型、回避情動型、といった類型が導き出されている。また、インターネットの各種サイトにおける相談内容とその回答を収集し、具体的な内容に関して研究知見との突き合わせを行った。インターネットを媒介とした介護職員支援の事例としては、介護職員向け及び介護問題全般に関する相談がホームページ等で行われているが、それらは介護職員の立場から状況を一方的に説明し、専門家や経験者がその情報を基にアドバイスを与えるというものであり、実際に行われている高齢者と介護職員のやり取りの状況が正確に伝達されているとはいえない等の問題点も明らかになった。 以上の結果を基に、介護職員へのインタビュー調査(1ケースにつき、1~2時間程度)を実施中である。この調査は24年度前半まで継続して行う予定である。この調査結果を基にして、介護職員を対象にした配票調査(約700名)を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的は、高齢者を施設で介護している介護職員の介護ストレスや負担感などの職場ストレスについて、その影響要因とコーピングの様態をストレス理論を適用して解明し、介護職員のエンパワーメント支援に関するメカニズムを析出することであり、その結果を基に、実践的な介護職員支援のためのWebシステムを開発するものである。 23年度は、研究成果のレビュー、インターネットの介護職員向けサイトにおける相談内容の収集と検討、24年度に計画していた介護職員へのインタビュー調査にも着手しており、実施計画に沿って、おおむね順調に進展している。インターネットの介護職員向けサイトにおける相談やアドバイスの内容収集に関しては、予想以上にサイト数が多いため、24年度も引き続き実施して行く予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に沿って実施する予定である。24年度前半は介護職員を対象としたインタビュー調査を中心に研究を進めるが、後半の配票調査の設計のために、インターネットの介護職員向けサイトにおける相談やアドバイスの内容収集を続けることにする。 また、24年度後半に予定している配票調査への協力施設の選定を早めに始めることにする。県内の福祉法人からの問い合わせもあり、協力施設を選定できるものと考えている。700名ほどのサンプルを予定しているので、年度内に配票、回収、データ入力が終了するような計画を立てていきたい。 25年度は、インタビュー調査と配票調査のデータ解析を進め、介護職員のストレス回避のための資源要因の有効性、コーピングパターンに注目して具体的な行動のバリエーションを抽出する。介護職員のエンパワーメント支援のためのWebシステムを開発し、希望する介護職員に使用してもらい、評価を得ながら改善していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実支出に残が生じたのは、研究分担者の旅費の支出がなかったことが大きい。学会や研究会への出席の日程調整がうまくできなかったことによるものであり、24年度は早めの計画を心がけていきたい。また、これらは、インタビューのための旅費・謝金や資料整理の謝金として使用する予定である。 24年度の研究経費は、「物品費」として、ノートパソコン、プリンタ、データ分析ソフト、3次元モデリングソフト等を予定している。「旅費」として、研究会や学会等への出席、インタビュー調査のための旅費を主として予定している。「謝金」として、インタビュー実施者への謝金、データ整理のための謝金、福祉施設長からの専門的知識の提供謝金等を予定している。
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