2012 Fiscal Year Research-status Report
電子媒体社会における生活者への影響とサステナビリティーの考察
Project/Area Number |
23650445
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 哲也 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (20252546)
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Keywords | 国際研究者交流 / 色彩 / サステナビリティー / 電子媒体 / 生活者 / ライフスタイル |
Research Abstract |
私たちの生活において,本やノートなどの紙媒体からiPadなどの電子媒体への移行が急速に進む中で,生活者や生活にさまざまな影響を与えていると推測される.本研究では,使いやすさはどうなのか,使用している際の視覚ストレスや疲労はどの程度なのか,LCAはどうなのかを知ることを目的としている. 本年度は,前年度の実験を改良した実験を行った.具体的には,50 人の被験者に,タブレット端末(iPad)と紙媒体2 つの表示媒体で情報,ニュース,小説の3 タイプの文章を読んでもらい,文章中の間違いをみつける実験を行い,被験者群の特徴を把握するためのアンケート,文章を読む時間,見つけだした間違えのスコア,そして読書によって起こった症状の自己評価アンケートの結果を分析・比較した.そして,それぞれのデータからiPad と紙で有意差があるかどうかを検定した.その結果,読書のタイム,スコアにはiPad と紙の間で有意差は見られなかったが,情報とニュースではiPad の方が紙よりもタイムが速い傾向が見られた.症状の自己評価からは「眩しい」「目が疲れる」等の6 つの視覚的ストレス刺激による症状の評価値,「感情移入しやすい」という評価値においてiPad と紙の間に媒体による有意差が見られた.また,相互関連性をみるため,主成分分析を行い,紙とiPad では,iPad の方が全体的に疲れの評価値が高かったことが分かった.そして,iPad と紙の読書における媒体間での差はiPad の方が視覚的なストレスをより感じ,紙の方が感情移入しやすく,親しみを感じることがわかった. なお,別途,電子媒体と紙媒体のLCAについて,先行研究の文献検索等でも調べたが,LCAにかかわる因子がきわめて多く,LCAの評価・計算が難しいことがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である使いやすさはどうなのか,使用している際の視覚ストレスや疲労はどの程度なのか,LCAはどうなのかの3つのうち,視覚ストレスについては,実験を通していろいろな結果が得られ,それを元に考察できた.また,使いやすさについても,実験結果から一応の結果が得られていると考えられる.これら2つについては,日本とタイの2カ国で実験を行い,それぞれに結果が出てきており.その比較検討できる段階に来ている.一方で,LCAについては,実際の評価・計算は難しいことが分かってきている. 以上のことから,3年の研究期間の2年目としては,おおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究結果を受けて,さらに条件を変えて視覚ストレスに関する実験を行い,得られた紙媒体と電子媒体に対する結果を比較して,使用者への負荷について考察する.また,使いやすさに関しても,色彩の影響を含めて条件を変えて官能評価実験を行い,紙媒体と電子媒体の使いやすさを,一般的な使用状況の中で,それぞれの媒体の使いやすさを間接的に評価できる主観評価法などを用いて実験を行い,できるだけ数量的に調査結果を解析することを試みる.また,海外の研究協力者とも連携して,海外での視覚ストレスの実験や使いやすさに関しての意識調査を行い,日本で得られた結果との比較検討を行う.そして得られた研究成果は,国際学会等で発表する. これまでの調査から,紙媒体と電子媒体のLCA評価に関しては,それを行うことが非常に難しいことが分かってきつつあるが,どのような形で評価できるのか,引き続き文献検索等を行い,その可能性を探る.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の予定に沿って研究費を執行する予定である.具体的には,データ解析や画像処理のためのコンピュータソフトウエアの購入,実験に伴う消耗品の購入,また,旅費に関しては研究結果を国際会議で発表することと,海外の研究協力者との共同研究を進めることに使用する予定である.
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Research Products
(1 results)