2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23650454
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
澤渡 千枝 静岡大学, 教育学部, 教授 (70196319)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 衛生 / 被服材料 / 皮膚 |
Research Abstract |
本研究の目的は,一般通念として根強い「夏の肌着は綿」に関して,綿が好まれる科学的根拠はあるのか,新素材の快適さは,この通念を翻すに足る実感を伴わないほど効果が小さいのかについて実験を通して検討し,皮膚の健康衛生に適した肌着とは何かを明らかにすることにある.肌着を一日を通して着用し続ける場合,「何となく」綿のほうが心地よい,という意見には,「固定観念」や「気のせい」以外の科学的根拠があるのでは,と考えたからである. ひとつの大きな要因として「肌環境の清潔さ」に着目し,まず,汗成分中の固形物が繊維に吸着されるか,皮膚上に残るのか,さらに皮膚上の皮脂や,皮膚常在菌のバランス,長時間経過後の快適性との関係を測定するための試料の調達,実験布・実験衣の決定,測定条件の確定を 予備実験を通しておこなった.従ってまだ実績は得られてないが,具体的な進行状況は以下の通りである.1)既存の資料収集と文献講読.2)試料の調達.疎水性新合繊(「宇宙肌着」も含む),生分解繊維,親水性タンパク繊維,親水性セルロース繊維(異なる表面特性を有するもの)購入した. 3)実験衣の決定.特定部位に複数の試料布を縫いつける方式を採用.4)布による実験を開始.5)肌の油分・水分計,固体用pH計,臭いセンサーの購入と測定方法の修得.6)皮膚常在菌数の測定条件の整備(コロニーカウンターおよび培地用器具・試薬購入).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では,被験者1名による着用実験 I と,被験者5名による着用実験 II を終了させる予定であったが,補助学生確保の問題から,これをH24年度におこなうことにしたため.
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Strategy for Future Research Activity |
H23年度に実施できなかった着用実験を主体に研究を推進する.まずは被験者1名による着用実験I,をおこない,モデル実験との比較を,肌の,油分・水分・pH・皮膚画像,着用後の布の汚れの観察・抽出・定量についておこなう.この結果によっては,着用実験 II の必要性の有無を判断するとともに,研究遂行上の問題点,改良点を検討し,これらをふまえて平成24年度の計画を微修正(試料布の素材と構成,測定環境と測定項目の追加または削減)し実験条件を絞り込み,着用実験第III期(被験者1名)を行い,決定した条件に不備が無いかを最終確認/修正する.その後着用実験IV期(被験者5名)を行い,結果を整理し,快適性に関わる諸因子と肌環境,被服素材との関連を明らかにする. 2年間の結果を総合して,健康と快適性を実現するための衣服素材の指針についてまとめ,真に快適で健康的な肌環境を維持するために繊維素材が備えるべき特性を明らかにし,これを材料設計・衣生活指導上の指針として確立する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
基本的には当初の研究計画に従って研究を進める.研究に必要な物品はH23年度に購入したので,H24年度に購入する物品(消耗品)は,使用期限が短い試薬等の補充が主となる.一方実験補助学生による着用実験はH23年度に実施できなかったためH24年度におこなう予定であり,実験補助学生への謝金額は当初の予定よりも増額する.謝金額の増額分については物品費と出張旅費の一部を充てる.
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