2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23650454
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
澤渡 千枝 静岡大学, 教育学部, 教授 (70196319)
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Keywords | 衛生 / 被服材料 / 皮膚 / 汗 / におい / 皮膚常在菌 |
Research Abstract |
本研究の目的は,一般通念として根強い「夏の肌着は綿」に関して,科学繊維系の新素材の快適さはこの通念を翻すに足るのかについて実験を通して検討し, 皮膚の健康衛生に適した肌着とは何かを明らかにすることにある. 肌着を終日着用し続ける場合,「何となく」綿のほうが心地よい, という意見には,「固定観念」や「気のせい」以外の科学的根拠がある, と考えたからである. そこで「肌環境の清潔さ」に着目し,皮膚上の汗成分中の固形物は繊維に吸着されるのか,汗や皮膚常在菌が付着した場合の繊維素材の持つ抗菌性の有無,においやpHの変化などを測定することによって長時間経過後の快適性との関係を評価した. 試料布は疎水性新合繊(ポリエステル,ナイロン),生分解繊維(ポリ-L-乳酸),親水性タンパク繊維(毛),親水性セルロース繊維(綿,レーヨン,キュプラ,テンセル,竹) のほか指定外繊維「マキシフレッシュ」が混紡された「MXP」を用いた.実験衣に試料布を縫い付けての着用実験と,シャーレ内に置いた布試料を37℃のインキュベータ内で保持するモデル実験,人工皮膚モデルを用いた計3方式をとった.実験での滴下汗は,常にサウナで採取直後の新鮮なものを用いた. 汗のみが付着した布が乾燥すると,親水性繊維の場合は繊維表面を滑らかに覆う形で固形物が観察されたが,疎水性繊維の場合は繊維上に塩化ナトリウムの立方体結晶が析出した.臭気の強さは付着直後が高く日数を経るごとに徐々に低下したが,布表面のpHは汗付着後3日まで上昇して弱アルカリ性を示し,その後もわずかな上昇が見られ,概して pH8~9の値を示した.pHの上昇が最も少なかったのは「MXP」で,同日数経過の汗のみのpHよりも低い値を示した.皮膚常在菌のひとつである黄色ブドウ球菌に対するハロー試験および一般細菌用試験紙による試験においても竹繊維のみが明確な抗菌性を示した.
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Research Products
(2 results)