2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23650458
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
中山 徹 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (60222171)
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Keywords | まちづくり / 事例調査 / 商店街 / 災害復興 / 失敗 |
Research Abstract |
まちづくりについては成功事例の報告が圧倒的に多く、うまくいかなかった事例報告はほとんど無い。うまく進まなかった理由を明らかにし、そのようにならない努力が重要だが、その理由は明らかにされていない。うまくいかなかった理由は、うまく進んだ理由の裏返しかもしれないが、裏返し以外に独自の理由が存在するかもしれない。そのような理由が存在するかどうかを明らかにするため、商店街及び居住地のまちづくりの2事例を対象とし、うまく進んでいない事例の調査を行うことにした。 (1)商店街について。商店街についてはかつては成功した事例として紹介されていたが、最近では加入店舗、売り上げが減少している商店街を複数取り上げ、なぜその商店街活性化がうまく進まなくなったかを把握した。また、リストには載らなかったが、調査対象になりそうな商店街の存在を確認するため、全国の複数箇所を訪問し、現地視察を行った。 (2)居住地のまちづくり。居住地のまちづくりが成功している事例の報告はかなりある。それらが順調に進んでいるかどうかの情報はほとんど無い。またうまく進んでいない事例は把握できたが、商店街の場合はうまく進まなくなっても商店街組織自身はほとんど存続しているが、居住地のまちづくりの場合、地域組織そのものが消滅したり、当時の中心人物と連絡が取れなくなっている例が大半であった。そのため居住地のまちづくりについては、事例調査をすることが困難と判断し、調査対象から外した。 (3)復興まちづくり。居住地のまちづくりを調査対象から外したため、換わりに自然災害から復興のまちづくりを調査対象に加えた。この場合、対象の一つは行政になるため、追跡調査が行いやすい。今まで、長崎雲仙普賢岳、新潟中越地震、北海道奥尻の現地調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
まちづくりがうまく進まなかった理由を二つの対象から明らかにしようとした。一つは商店街活性化、もう一つは居住地のまちづくり。ただし後者については事例対象を選定することが困難であり、復興まちづくりに対象を変更した。 商店街については平成23年度からの継続であり一定の調査が行えた。しかし、内容がうまく進まなくなった理由の調査であり、通常の調査よりも進めるのが難しい。また、事業がうまく進んでいる場合は事業の中心人物と連絡が取りやすいが、事業がうまく進んでいない場合は中心人物の交代などが多く、調査がスムーズに進みにくい。 復興まちづくりについては、行政が一部を担当しているため、比較的資料が残っており、また連絡もつけやすい。復興まちづくりを調査対象にしたのは平成24年度からであり、いままで3カ所、長崎雲仙普賢岳、新潟中越地震、北海道奥尻の現地調査を行い、一定の資料収集などを行った。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)商店街の事例調査。平成24年度までに行った調査を踏まえ、商店街活性化がうまく進まなかった理由をまちづくりの視点から整理する。平成23年度には複数箇所の商店街の現地調査を行い、平成24年度はそれに追加できる商店街があるかどうかを検討した。平成25年度も引き続き追加できる調査地があるかどうかを現地調査などを通じて検討し、適切な事例があれば調査対象地として加える。 (2)復興まちづくり。平成24年度に調査した長崎雲仙普賢岳、新潟中越地震、北海道奥尻に若干の地域を加え、復興まちづくりの中でうまく進まなかった側面を明らかにし、その理由を検討する。復興の場合、担当した行政は存続しているものの、市町村合併等で資料が十分残っていないところもある。また、すでに20年近くが経過しているところでは当時の担当者と連絡が取れないところもある。そのため、先の3カ所に新たな対象地を加え調査を進める。 (3)上記の対象を、人材、計画、予算などの点から検討し、まちづくりがうまくいかなかった理由を把握する。うまく進んだ理由はすでに各方面から検討されている。うまく進まなかった理由がその単なる裏返しなのか、うまく進んだ理由の裏返し以外に独自の理由が存在するのかを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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