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2011 Fiscal Year Research-status Report

繊維加工への応用を目指したムチンの界面化学的研究

Research Project

Project/Area Number 23650461
Research InstitutionOyama National College of Technology

Principal Investigator

酒井 洋  小山工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (90310648)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2013-03-31
Keywordsムチン / 界面化学 / 表面張力 / 可溶化 / 繊維 / FT-IR / 糖タンパク質 / 吸着
Research Abstract

本研究は、ムチンによる繊維加工に挑戦するための基礎研究となるものである。繊維にこれまでに無い新しい機能を付与するために、ムチンの持つ能力を繊維に導入することを目指す。そのために、ムチンと繊維の相互作用をはじめとする、ムチンの基本的な界面化学的性質を明らかにするというのが本研究の目的である。 まず初めに、ムチン単独の基本的な界面化学的性質を明らかにするため、緩衝液を使用し、豚胃ムチンの濃度0.01~0.5mg/mLの水溶液を作製し、その表面張力の経時変化を測定した。その結果、どの濃度においても、一般的な界面活性剤と比べて表面張力はゆっくりと低下し、数時間かけて平衡値に到達した。これは、ムチンの分子量が数百万~数千万と大きく、水表面への吸着に時間がかかるためであると考えられる。 また、濃度が薄い範囲では、濃度が高くなるにつれて表面張力の平衡値は低下したが、0.05mg/mLを超えると、その平衡値はほぼ一定の値となった。この濃度は、いわゆる臨界ミセル濃度に相当するものであると考えられる。 続いて、ムチン水溶液の可溶化能の検討を行った。まず水に不溶な油溶染料であるズダンIIIを用い、ムチン水溶液に対し種々の濃度でズダンIIIを加えて可視スペクトルの測定を行い、検量線を作成した。続いて、種々の濃度のムチン水溶液にズダンIIIを過剰量加え、水溶液の可視スペクトルの測定を行うことで、それぞれの濃度の溶液に対するズダンIIIの可溶化限界量を求めた。その結果、0.2mg/mL付近から可溶化限界量は急激に上昇した。これは、この濃度からムチンがミセルを作り始めることで、ズダンIIIの可溶化が促進されたものと考えられる。つまり表面張力値が一定となる濃度とずれが生じており、ムチンの表面への吸着とミセル形成の間には、一般的な界面活性剤とは異なる関係があることが伺えた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

ムチンの表面張力と可溶化能の測定を行い、ムチンの界面化学的な性質の一部を明らかにすることができた。さらに繊維とムチンとの相互作用の研究まで進める予定であったが、そこまで到達しなかった。これは、ムチンの精製が順調に進まなかったことが理由である。ムチンは一般的なタンパク質と比べて分子量が格段に大きく、数百万から数千万とされている。そのため、一般的なタンパク質を精製するためのゲルろ過クロマトグラフィーのカラムを使用することができず、一からカラムを作製したため、予想よりも時間を取られたことが原因であった。さらに、ムチンの水溶液濃度の定量に困難があったことも理由として挙げられる。

Strategy for Future Research Activity

ムチンの精製を行い、精製前のムチンと比較し、表面張力等への影響を明らかにする。 各種分子に対するムチンの可溶化能を明らかにし、分子の大きさや極性が可溶化能に与える影響を検討する。さらに、FT-IR の外部反射法により、水溶液表面のムチンの状態を計測する。 また、ムチンの繊維への付着とその付着量の評価を行う。布の状態によりムチンの付着状態が異なると予想される。綿布帛、さらにカチオン化処理された綿布帛に対し、ムチンを種々の濃度で浸漬法により付着させる。そして水溶液に残ったムチンの定量を行い、その付着量の見積もりを行う。同様の実験を、毛、絹、ポリエステル、ナイロンで行う。繊維の違いによるムチンの付着状態の違いを明らかにし、界面化学的な考察を行う。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

ムチンや、緩衝液作製のための試薬代、ムチン精製のためのカラム代、ムチンを付着させるための繊維、ガラス器具、超純水作製のための消耗品代などに使用予定である。さらに、学会参加のための旅費にも使用予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2011

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] ドデシルトリメチルアンモニウムブロミドおよびドデシル硫酸ナトリウムGibbs膜の赤外外部反射法による構造評価2011

    • Author(s)
      酒井洋 釘宮郁 松坂嘉明 河合武司
    • Organizer
      第63 回コロイドおよび界面化学討論会
    • Place of Presentation
      京都大学
    • Year and Date
      2011年9月9日

URL: 

Published: 2013-07-10  

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