2012 Fiscal Year Annual Research Report
DNAマイクロアレイを用いて食品の味質に関与する遺伝子を見出す
Project/Area Number |
23650462
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
朝倉 富子 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (20259013)
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Keywords | DNAマイクロアレイ / ダイズ |
Research Abstract |
食品の二次機能を決定する遺伝子群を見出すことを目的とする本研究では、主要な作物としてダイズを取り上げ、味質に関わる遺伝子を抽出し、新しい品種の開発、または栽培方法の構築を目指した。 品種の異なるダイズを取り上げ、種子の登熟期における発現遺伝子の変動を解析した。大豆の貯蔵タンパク質はグリシニンとβ―コングリシニンが70%を占め、それぞれ栄養特性、加工特性が異なる。グリシニンは、必須アミノ酸組成および豆腐などのゲル化に関わることから、食品タンパク質として優れていると言われ、β―コングリシニンは重要視されてこなかった。しかし、近年β―コングリシニンに血中脂質を低下させる作用があることがわかり、注目されるようになった。本研究では、グリシニンのサブユニットをほとんど欠失した品種である東山205号と、親品種であるタマホマレを比較し、発現遺伝子の違いを解析した。主要貯蔵タンパク質のうち約半分を欠失しているにも拘わらず、粗タンパク質(含窒素化合物)量はそれほど変化しない。東山205号では遊離アミノ酸量がタマホマレに対して2.2倍多くなっていた。両品種の種子における発現遺伝子を比較するために、約5 mmの種子と最大サイズで脱水直前の枝豆における発現遺伝子を解析した結果、両品種間で有意に発現の変化が見られた遺伝子として塩基性7Sグロブリンアイソフォーム、seed maturation proteinなど、貯蔵タンパク質以外のタンパク質の発現が上昇していた。特筆すべきこととして、グルタチオンS-トランスフェラーゼとアスコルビン酸パーオキシダーゼの発現が、グリシニンをほとんど欠失した東山205号では上昇していることがわかった。また、登熟期のダイズにおける発現遺伝子の変動を解析した結果、登熟初期からダイズが最大サイズになる時期までの間に発現する遺伝子の発現プロファイルをパターン化した。
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Research Products
(12 results)