2011 Fiscal Year Annual Research Report
カスパーゼ阻害活性を応用した食品成分の生理機能の解明
Project/Area Number |
23650463
|
Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
松江 一 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (30106843)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 憲秀 北海道大学, 理学・理学系研究科, 准教授 (20222268)
乗鞍 敏夫 青森県立保健大学, 健康科学部, 助教 (40468111)
森永 八江 青森県立保健大学, 健康科学部, 助手 (40404818)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
|
Keywords | anticancer / p-terphenyl derivatives / Thelephantin O / vialinin A / Thelephora aurantiotincta / Caspase inhibiter / chronic alcohol consumption / pair feeding |
Research Abstract |
今年度は以下のような項目について行った。 【新規抗腫瘍活性物質Telephantin-Oの単離・同定】と【カスパーゼ阻害活性の評価】担当:乗鞍、松江 イボタケ属のきのこから、多数のp-テレファニル骨格を有する新規物質が単離・同定されているが、ヒト肝ガン細胞HepG2を目安にした抗腫瘍活性物質探索は無く、昨年度我々はVialinin A(VAと省略)を単離構造決定した。今年度は,ボタンイボタケからVAよりメチレン基が一個少ない新規物質Telephantin-Oを単離し、LC-MS/MS分析、NMR分析により化学構造を同定した。Telephantin-OとVAは、HepG2やCaco2の悪性腫瘍細胞の増殖を抑えるが、対応する正常細胞には何ら影響を与えない選択性を示し、いずれの化合物もp-テレファニル骨格の真ん中のフェノール性水酸基がシスという特徴的構造を有していた。さらに,抗腫瘍機構解明にHepG2細胞に活性物質(10~40mg/ml)を添加後、48時間本培養を行い、細胞ライセートのカスパーゼ3/7活性を測定したところ、活性物質10μg/mlでカスパーゼ3/7活性をほぼ100%阻害することが明らかとなった。この結果はこれらの抗腫瘍活性がアポトーシスが原因で起こるものではないことを示していた。 【VAの化学合成】および【慢性アルコール性肝障害モデル動物経の投与試験】担当:藤原、森永、乗鞍、松江 VAの強力な抗酸化性とヒト肝ガン細胞HepG2へのカスパーゼ阻害活性から、逆に酸化ストレスの増大に伴ったアポトーシスが引き金となっておこるアルコール性肝障害を改善する生理的効果がVAに期待された。VAを投与する動物実験は本研究が世界で初めてであり、2010年ノーベル賞を受賞した鈴木-宮浦のクロスカップリング反応を応用した合成法を用いてVAを大量に化学合成し天然物と一致することを確認後、それを用いて慢性的な過剰飲酒モデル動物への経口投与を行わた。5週齢Wister系雄ラットを使用し、液体飼料であるLieber-DeCarli dietsのPFC比のC:47.5%のコントロール群と、C比の36%をアルコールに置換したアルコール投与群、さらにアルコール投与群と同じ食餌組成にVAを0.0002%(w/v)に調製した群、また0.001%(w/v)に調製した群の4群こ分けた。アルコール投与群の食餌量を基準として、8週間pair-feedingを行った。VAの投与により肝臓や腎臓に毒性を示すような生化学的な異常、また体重や各臓器の増加、飼育期間中に異常がみられなかったが、VA投与群においては肝臓の酸化ストレスマーカーMDA値が減少する傾向がみられた。
|
Research Products
(3 results)