2012 Fiscal Year Research-status Report
アジアにおける食文化のグローバリゼーションとその健康・環境影響の定量的研究
Project/Area Number |
23650476
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古澤 拓郎 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (50422457)
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Keywords | 食文化 / タイ / インドネシア / 人類生態学 / グローバル化 / ローカル化 / ヤシ / GIS(地理情報システム) |
Research Abstract |
東北タイのコンケン県において、都市部(コンケン市郊外:総世帯数約500世帯)、中間部(中心部から約40 km:138世帯)、農村部(同60 km:168世帯)を調査対象地に定めた。GIS解析の結果からは、都市部では大型スーパーマーケットへのアクセスが良く、農村部では周辺が農地利用されていることが明らかになった。中間部は、農地に囲まれていたが、都市へと直結する幹線道へと近かった。また、各対象地から20世帯を無作為抽出し、食習慣・栄養素摂取状態と栄養健康状態についての調査を行った。食事調査の結果では、農村部では農地で採取された作物や野生動物が食されていた一方、都市部ではスーパーマーケットや外食への依存が高かった。食事パターン、栄養状態、地理条件との関係を解析中である。その他、地元の調理レシピや、食品サンプルの収集を行った。スーパーマーケットで入手できる食品には、日本食のものも多く、日本食のグローバル化・ローカル化を見出すことができた。また、インドネシア・東ヌサトゥンガラ州において、グローバル化以前の主要エネルギー源としてオウギヤシ(Borassus flabellifer)およびサトウヤシ(Arenga pinnata)の役割が大きいことを見出し、サンプリングを行った。サブ島やスンバ島においてはオウギヤシが、フローレス島においてはサトウヤシが、それぞれ主に用いられていた。調理法にも差がみられた。ヤシによる人口支持力と、現代の食事による人口支持力を算出中である。両国調査を融合して、全体として、地方におけるグローバル化の影響の様相が明らかになり、今後の大都市から国際都市での調査へとつながるデータとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ収集が順調に行われ、必要な解析と解釈が施された。食品やレシピのサンプルも順調に収集された。また、現地研究機関とも良好な協力体制を構築している。このようなことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
タイでは、同国の首都でありかつ国際都市でもあるバンコクにおいて、食事調査・栄養状態調査を行う。インドネシアにおいては、ジャカルタやデンパサールという都市の食習慣を調査する。さらに、世界有数の国際都市である日本の東京において、タイ出身者、インドネシア出身者の食習慣を明らかにする。そのうえで、地方村落部、地方都市、大都市、国際都市へと続く、グローバル化の進展に応じた、食文化の変容を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
タイ、インドネシアで調査を行う旅費、それに伴う消耗品類の購入にあてる。また、一部の食品サンプルの栄養分析を行う。成果を発表する学会発表や、英文校閲にも充てる。
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[Journal Article] Hypertension susceptibility gene prevalence in the Pacific Islands and associations with hypertension in Melanesia2013
Author(s)
Furusawa, T., Naka, I., Yamauchi, T., Natsuhara, K., Eddie, R., Kimura, R., Nakazawa, M., Ishida, T., Inaoka, T., Matsumura, Y., Ataka, Y., Ohtsuka, R., and Ohashi, J.
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Journal Title
Journal of Human Genetics
Volume: 58
Pages: 142-149
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] A functional SNP upstream of the beta-2 adrenergic receptor gene (ADRB2) is associated with obesity in Oceanic populations2012
Author(s)
Naka, I., Hikami, K., Nakayama, K., Koga, M., Nishida, N., Kimura, R., Furusawa, T., et al
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Journal Title
International Journal of Obesity
Volume: epub
Pages: epub
DOI
Peer Reviewed
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