2012 Fiscal Year Annual Research Report
鉄欠乏で惹起される小腸粘膜のフェリチン非依存的抗酸化メカニズムの解明
Project/Area Number |
23650485
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
篠田 粧子 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (40132055)
|
Keywords | 鉄欠乏 / GSH / 酸化ストレス / 過剰鉄 / labile iron pool / フェリチン / 小腸 |
Research Abstract |
鉄はFenton反応を介してヒドロキシラジカルを発生するため、通常は細胞内のフェリチンと結合することで反応が抑制されている。一方、鉄欠乏状態では鉄吸収が亢進し、同時にフェリチン発現量が低下するため、十二指腸粘膜細胞内で遊離鉄が増加し、酸化ストレスが発生する可能性がある。Fenton反応で生成されたヒドロキシラジカルを消去する代表的な抗酸化物質であるグルタチオンは細胞内濃度が高く、酸化還元状態を維持するために最も重要な細胞性抗酸化物質とされている。 貧血ラットでは、このグルタチオン濃度が鉄充足群に比べて高く維持され、脂質の過酸化を抑制するフェリチン非依存的な抗酸化システムが働くこと見いだした。小腸粘膜の総グルタチオン(tGSH)に占める還元型GSHの割合(GSH/tGSH)は99%以上であった。結紮した腸管に鉄を投与すると、細胞内の遊離鉄(labile iron pool:LIP)は貧血群で高くなった。鉄充足群、貧血群ともに、鉄の投与によって還元型グルタチオンの割合は減少したが、その減少率は通常群に比べて貧血群で有意に大きかった。グルタチオン合成阻害剤 L-ブチオニン(S,R)-スルホキシミン(BSO)を投与し、小腸粘膜細胞のグルタチオンを低下させたラットに鉄を投与すると、鉄充足群、貧血群共に脂質の酸化が促進した。貧血ラットの小腸では、フェリチン非依存的な抗酸化システムが働いていることが示唆された。
|