2012 Fiscal Year Annual Research Report
内部観測にもとづくゲーミング・シミュレーションでの役割体験の評価に関する研究
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23650496
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
木谷 忍 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20169866)
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Keywords | 内部観測 / 役割演技 / ゲーミング |
Research Abstract |
本研究では,役割体験型ゲーミング・シミュレーションにおける参加体験の評価を,内部観測にもとづく評価枠組を用いて統計学的な実証的分析ではなく,「予想外の出来事」に対する役割体験者の意識や態度について,いくつかの事例研究を通して再評価をすることが目的であった. 初年度は評価枠組みの理論構築を行い,ゲーミングにおいて役割演技における「役割」とは何かに関する概念整理の必要性に迫られた.そこで最終年度(24年度)は,役割を外部から与えられるものに限定せず,プレイヤー自ら自発的に演じるものまで含めることにした. 今回の研究で行ったゲーミング実験は2つである.一つは,農業ゲームをデザインをする「役割」とその農業ゲームをプレイする「役割」について,農業に関わる教育的効果を測ることを通して,予想外の事柄に着目しながら評価を行った.農業への関心や知識については,ゲームをデザインをする被験者の方が教育効果が高いことが実証的に示されたが,作成する農業ゲームの種類では,ゲーム形式が緩いほうが農業への関心度が高まるという予想外の結果が得られ,また,農家調査を実施したデザイナーは必ずしも実際の農業者への理解が高まるわけではないという結果も得た. 2つ目の実験は、地域特産品のブランド化戦略として,特産の品が誕生するまでの物語を作成し,それを読ませる環境と読み聞かせる環境で,特産品への評価の変化を測るものである.後者の方が購買行動が高まるという仮説があったが,単純にはそうではなく,後者が優位なのは地元への「共感」の高まりというものであった.地域経済戦略としては意味のない結論にみえるが,実はそうではなく,地域ブランドへの共感は地域外からのニーズに合わせようとする際に生じる地域住民のストレスを小さくする効果があるのかもしれない. 以上の実験から,ゲーミングでの役割と予想外の事柄の評価について,一定の研究成果が得られた.
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Research Products
(6 results)