2012 Fiscal Year Annual Research Report
大学の実験室における化学物質使用実態のモデル化と化学物質管理手法の提案
Project/Area Number |
23650500
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 瑠美子 東京大学, 環境安全本部, 助教 (50508421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 義人 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (70213709)
戸野倉 賢一 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (00260034)
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Keywords | 大学実験室管理 / 化学物質管理 / 作業環境管理 / アンケート調査 / 安全教育 |
Research Abstract |
本研究では、大学における化学物質使用実態に基づく実効的な化学物質管理・教育手法を提案するため、アンケート調査、計測実験などを行うことにより、大学の実験系研究室において化学物質がどのように使われているのかを定量的に表現する手法について以下の検討を行った。 大学の実験研究においては、知識や経験と状況に基づいて実験者自身が常に判断しながら手順を選択している。合理的な管理や効果的な教育を行うためには、実験者が化学物質をどのように捉え、判断しているかを明らかにすることが重要である。本研究では、前年度の成果を元に、様々な大学の化学系の学生・教職員に対して化学物質に対する知識やイメージを問うアンケートを実施し、母集団ごとの捉え方の違いを統計的に比較した。その結果、初学者ほど化学物質の構造式と危険性の関係の捉え方にばらつきが大きい一方、化学を専門とする教職員は構造式と危険性の認識に一定の傾向が見られた。このことから、化学物質の危険性に関する知識は構造式との相関により醸成される傾向にあると考えられる。また、本手法は、このような化学物質の危険性の捉え方を定量的に評価するための一手法として期待できる。 また、実験室という場における化学物質の使用実態を定量的に表すモデルを構築するため、ビデオカメラやRFIDタグなどを用いた試薬の位置情報などの実験室稼働状況記録と、パッシブサンプラーやガス濃度モニターなどを利用した作業環境中の有機物濃度記録などを組み合わせた実験室モニタリングを行った。これにより、同室内の他の実験者との関係も含めた化学物質の実験室内での動きを定量的に表現することが可能となる。得られたデータは、実験室の稼働状況の可視化手法としての活用だけでなく、化学物質の効率的な管理や実験中の暴露リスクの低減を実現するための、実験室レイアウトや実験スケジュールの最適化などに活用できると考えられる。
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Research Products
(3 results)