2011 Fiscal Year Research-status Report
明治中期「理科」・「科学」教育の実相・意義・源流の解明と今日的価値の新展開
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23650503
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小林 昭三 新潟大学, 人文社会・教育科学系, フェロー (10018822)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
興治 文子 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (60409050)
五十嵐 尤二 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (50151262)
矢田 俊文 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (40200521)
藤林 紀枝 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (20238603)
岡野 勉 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (30233357)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 明治中期の科学教育史 / 高等小学校生徒の授業筆記 / 物理筆記 / 化学筆記 / 理科筆記 / 世界レベルの科学教育 / 高等小学校試験問題・答案 / 新潟静岡茨城の科学教育 |
Research Abstract |
新潟、静岡、茨城等で「明治20年代の高等小学校生徒の授業筆記」を発掘・分析し、当時はどのような科学教育の授業が行われ、どのような教科書をどのように活用したか、どのような授業内容だったか、等を解き明かした。その結果、「明治19(1986)年の小学校令後の約10年前後まで、当時の世界の最先端に位置する物理学・化学・・等の高いレベルの科学教育を目指した授業が、授業筆記が書かれた各高等小学校で実施されていた」ことを検証する特筆すべき研究成果を得た。即ち、「明治中期の小学校令の時代には、日本人による日本に根ざした科学教育の新展開と発展に寄与する教育が日本の各地に育ち始めた」ことを解明することが出来た。新潟の中川謙二郎の訓蒙化学の方向や、群馬の後藤牧太達の小学校生徒用物理書等の方向等、「日本人による、日本に根差した科学分野の授業」が工夫されたもので、日本の風土や実情に合うように解り易く噛み砕いて、当時の世界最先端の教育法や実験(試験)を取り入れた授業内容である事などを解明した。当時の世界の最先端の科学教育を目指した意欲的な教科書・授業内容・教育方法による教育が「小学校令頃から約10年前後」まで「理科授業が各地で花開き実施されていたこと」等を解明した。 従来は「明治初期の科学教育の流れは明治19年の小学校令で終焉し、物理・化学等の各分野の『科学』教育は姿を消して『理科』教育へと大転換した」とされてきた。しかし、新潟の村上、与板や小千谷、静岡や茨城等の高等小学校生徒による「理科、物理学、化学、生理学、等の授業筆記やその試験問題や試験の答案」を分析・検討した結果、上記のような授業内容・方法が「小学校令後の約10年前後にわたり実施された新事実・新証拠」を具体的に提示できた。こうした「明治中期の科学教育の新実相」を歴史的に検証した本研究成果により、明治中期の理科教育史を大修正してきている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
新潟において、村上に端を発し、その後、与板、小千谷や新潟や魚沼地域で次々と授業筆記を発掘・分析して、研究報告会で広く公表・論議した。さらに、静岡、茨城や福島等でも、「高等小学校生徒の理科、物理学、化学、生理学等の授業筆記と試験問題や試験答案」を、思いがけなく発見し分析できる好機に恵まれ、豊富な歴史的新証拠に基づいた研究計画の急進展がもたらされたので、初年度に於いて、日本の全国的な展開への本格的な段階迄の達成度を得る事が出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、新潟・福島・静岡・茨城における「明治20年代の高等小学校生徒の授業筆記や試験問題答案」の発掘内容を詳細に整理分析して、論文として内外に発表する。さらに、それらが日本全国ではどうであったかを確かめるべく、「仙台、群馬、埼玉、名古屋、大阪、山口・・」等における新たな発掘・分析を新展開できる見通しを得たので、日本国内における広範な地域における「明治20年代の高等小学校生徒の理科・科学授業の実相の解明」とその世界的位置づけにまで、本研究課題の研究計画を展開し推進する。その成果をまとめ国内・国外での学会・研究会・研究交流で公表し、普及をはかりながら、今日的価値のある理科・科学教授用の新素材として新展開することを目指す。 前年度には膨大な情報の検索により「多くの新たな発掘・分析を見通す準備」が続出したので、研究費の未使用額が生じ、今後の多数の新発掘・新分析が生まれた。未使用分はこの新たな新発掘・新分析を加えた今後の研究推進に使用する計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)仙台、群馬、埼玉、名古屋、大阪、山口、等における多数の新たな古文書の発掘調査を新展開できる見通しを得たので、前年の未使用分を併せて、これらの新たな旅費、資料購入費、調査分析・集計整理・集積集成物作成等のために諸経費等を使用する計画である。(2)今日的価値のある理科・科学教授用の新素材として新展開するための資材・教材費・デジタル化諸経費。(3)成果をまとめ、国内・国外での学会・研究会・研究交流で公表・普及をはかるための、国内外への出張旅費や公表資料の作成費やデジタル化・電子的提示物の作成経費やそのためのICT機器・素材用の諸経費。(4)最終年度の成果とりまとめとその集大成のために、その成果報告集や電子的成果集大成物を作成して、ワークショップ・研究会・報告会などを開催するための諸経費(旅費・報告集の刊行費・デジタル化諸費用等)。
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Research Products
(12 results)